変化する顧客エンゲージメントの概念。現代に求められる戦略とは?

 2020.09.28  カスタマーデータ活用ポータル編集部

ひと昔前の商売では、どのような業種でも、顧客とのつながりは最も重要視されていました。しかし、社会に多様な製品・サービスがあふれる過程で、そのつながりは徐々に薄れていきました。ところが現在、再び顧客とのつながりが企業にとっての最重要課題になりつつあります。それが「顧客エンゲージメント」という考え方です。本記事では、顧客エンゲージメントの概念と、具体的なアプローチの仕方について解説します。

顧客エンゲージメントが現代で重要視されている理由

現在、インターネットやソーシャルメディアの広がりによって、製品やサービスの購入方法に大変革が起こっています。これまでの方法では、モノが売れなくなっているのです。

その対策として、企業は顧客との結びつきを強め、今まで以上に顧客に寄り添ったサービスを目指す意味で「顧客エンゲージメント」という考え方を取り入れました。

この状況下で注目されているポイントが、「顧客接点」の多様化です。そこで顧客接点というキーワードに注目し、なぜ顧客エンゲージメントが必要なのかを考えてみましょう。

もっと読む:顧客エンゲージメントとは?目的や獲得方法を解説!

高品質+低価格では売れない時代へ

従来のビジネスでは、製品・サービスの質を高めることと、なるべく低価格で提供することにより、顧客の購買意欲を喚起していました。「よい商品を、より安く」というフレーズが、合言葉のように使われていた時代です。

しかし現在、このタイプのビジネスは行き詰まり、消費者は買いたいもののブランドや品質に価値を置かず、買いやすさに比重を置くようになりました。製品・サービスがすべて「コモディティ化(日用品化)」してしまったのです。

消費者は買いたいものを探すとき、メーカーやブランドを気にせず、インターネットで横並びの商品の中から気に入ったものを購入します。しかもスマートフォンの普及によって、その傾向はますます強まってきています。

顧客接点の多様化

消費者の購買行動が変化した最大の理由は、顧客接点が多様化したことにあります。例えば必要な商品を購入するとき、以前は直接販売店を訪れていましたが、現在ではインターネットで注文すれば自宅に届きます。

買いたい商品の情報を得る際にも、消費者の多くは最初にインターネットで検索します。このように、物流の中心にインターネットが位置するようになったため、製品・サービスの提供者(企業)と消費者との接点が変化してしまったのです。

その結果、以前のような店頭での対面販売や、電話・DMなどの効果が弱まってきました。さらに、テレビや新聞といった公共メディアによる情報発信も、顧客接点としての効力を失いつつあります。

代わりに台頭してきたのが、SNSなどのソーシャルメディアと、インターネット上のさまざまなサービスです。企業は、これまでよりも格段に複雑化した顧客接点を、マーケティングの一環として扱わなければならないのです。

顧客接点の多様化で浮上する課題

現在、多くの顧客接点は、製品・サービスが消費者に届くまでの流通経路、つまりチャネルと連携しています。消費者がインターネット上で得る情報も、このチャネルの流れに含まれます。

企業としては、ターゲットとなる顧客につながるチャネルを、高い精度で見極めなければなりません。チャネルの選択ミスは、大幅な顧客接点のロスに発展する危険性があるからです。

例えば、高齢者をターゲットと捉えた際に若者向けのSNSを利用したところで大した効果は見込めません。顧客に合わせて最適なチャネルを選択する必要が生まれたのです。

また、チャネルのみ拡張する方法は一見ビジネスチャンスにつながるように感じますが、顧客エンゲージメントの強化とは完全に逆行しています。顧客接点の多様化を、顧客エンゲージメントの強化と連携させる仕組みが必要です。

現代で顧客エンゲージメントを獲得するためには

ここからは、具体的にどのように顧客とのつながりを強化すべきか、顧客エンゲージメント強化の手法についてご紹介します。

スマホアプリの活用

スマートフォンの急速な普及にともない、顧客の多くはスマホアプリを通して情報収集を行い、購買行動を起こすようになりました。今後、情報通信システムが5G(第5世代移動通信システム)に移行すると、さらに多くのやりとりがスマホアプリを介して行われるでしょう。

このスマホアプリは、企業と顧客とをつなぐ重要なチャネルであり、顧客エンゲージメント強化にとっては大きなチャンスです。顧客とのチャネルから情報を集め、膨大なデータを分析することで、マーケティング戦略に活かせるからです。

企業は顧客から得た情報を活用して、今度は顧客に対して情報発信を行い、顧客エンゲージメントをより強く太くすることができます。

こうしたスマホアプリによる顧客エンゲージメントの強化は、「コニカミノルタ」や「オムロンヘルスケア」など、国内有数の企業も積極的な取り組みを始めています。

ソーシャルCRM

世界人口の約1/3が「Facebook」「Twitter」「Instagram」といったソーシャルメディアを利用している中、企業はこれらを利用しているユーザーの情報をCRM(顧客関係管理)システムに統合して管理することができます。

これは、企業側からの一方的な情報管理ではなく、企業がもっと顧客に寄り添うための一手段だといえます。CRMでやりとりされる情報は、例えば顧客側では商品情報のリクエストや、質問・相談・苦情などが挙げられます。

それに対して企業側が回答するわけですが、ここに顧客エンゲージメント強化のチャンスがあります。企業側が最適な対応を行い、顧客とのコミュニケーションを密にすることで、その顧客との関係をより強化することができます。

このように、企業と顧客が双方向で情報のやりとりが可能なことが、ソーシャルCRMの特徴です。

オムニチャネル戦略

「オムニ」とは英語における接頭語で、「すべての~」を意味します。「オムニチャネル」とは字義どおり、顧客との間にあるすべてのチャネルを活用することです。あらゆる顧客接点を使うこと、と言い換えてもよいでしょう。

オムニチャネルにはECサイトや実店舗、SNS、マスメディア、さらにカタログや屋外広告など、これまで社会に登場したすべてのチャネルが含まれます。ただし、単純にチャネルの数だけを増やすわけではありません。

オムニチャネルでは、すべてのチャネルを連携させながら、全体的なシステムの中で企業と顧客がコミュニケーションをとり、お互いの関係性を高めます。よって複数のチャネルを連携させた戦略が必要となりますが、それが最終的に、顧客エンゲージメントの強化につながるのです。

まとめ

顧客接点の多様化により、企業側から一方的に商品やサービスを提供するだけではビジネスが成り立たなくなりつつある現在。一方で、昔とは比較にならないほど多くのチャネルが存在しています。それらを顧客接点として有効活用するのが、これからの顧客エンゲージメントにおいて重要といえるでしょう。


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