コンテンツマーケティングを実践していく上でキーとなるのはコンテンツであることに間違いありません。
しかし、せっかく良い内容のコンテンツがあっても、Webサイトでの見せ方が悪いために損をしている事例が多々見受けられます。
損をするとは、主に次の二つです。
- ユーザーに届かない。
- 検索エンジンに評価してもらえない。
ユーザーに届かなければ、コンテンツ本来の目的であるコンバージョンにまでたどり着けません。そして、それと連動するようにユーザーに支持されないコンテンツは、検索エンジンにも評価されません。
それでは一体どうすれば良いのでしょうか。今回はユーザーに届く見せ方のポイント、さらにそれがどう実践されているかを事例を交えてご紹介します。
ユーザーに届く見せ方
ユーザーに届く見せ方とは、じっくりと内容を確認してもらい共感を得ることです。
そのためには、記事内容がしっかりしていること、特にユーザーニーズを満たす「信頼性」「独自性」「網羅性」が備わっていることはコンテンツマーケティングにおいて必須です。
そして、その大前提を備えた上で以下のようなポイントに注意すると良いでしょう。
テキストについて
- 適度に改行や句読点を入れる。
- 漢字とひらがなのバランスを取る。
- 一文は長すぎず、適切に区切る。
- 比喩や指示語(「あれ」「これ」等)は使いすぎない。
構成について
- 中見出し、小見出しを入れていく。
- 画像やイメージカットなどを文中に入れていく。その位置に書かれている内容に関連したものを入れるのが大切。
- 表や図、イラストなど理解の助けになるものを入れるのがベター。
- 強調箇所のテキストは、分かりやすくする。
- 要点やポイントは羅列をせず、箇条書き(リスト)にしてまとめていく。
- 「5つのポイント」など数を明示するのも好まれやすい。
- 要所にそこまでのまとめを入れたり、最後に全体のまとめを置く。
その他
- 最初に目次を入れ全体の内容が分かる、スクロールしてもらいやすい仕掛けを用意しておく。
- 結論をわかりやすく書く。
- 公開(または更新日付)を記載する。
- 記事の執筆、監修者を明確にする。
- 閲覧にかかる、おおよその目安時間を入れるとより親切。
- スマートフォンでの読みやすさを考慮する。
Webユーザーの特性
加えて気をつけたいのは、紙面での良い文章を持ってきても、決してベストではないということです。一般的に美文、麗文、小説のように凝った文章がかえってマイナスになることも多々あります。
それは次の二つの理由からです。
- パソコンやスマートフォンの画面に映る文字は、紙よりも大きなストレスを目に与える。
- ユーザーはすぐに答えを欲しがっている。
1つ目のストレースに関しては、人それぞれの側面もありますがモニターの方が光度などの影響から人の目に与えるストレスは大きいと言われています。
そして2つ目のユーザーがすぐに答えを欲するという点については少し説明が必要かもしれません。
一般的にコンテンツマーケティングを実践すると記事コンテンツには検索エンジンから多く流入してきます。
例えば「緑茶 成分」と検索すれば、そのユーザーはとにかく緑茶の成分をすぐに知りたいのです。そこで「緑色をした香りの高い緑茶。日本では古来から多くの人々に親しまれています・・・・」などと始まったら、まどろっこしくてすぐに別のページに移動してしまうでしょう。
次のような書き方が、ユーザーニーズを満たします。
例)
緑茶の一般的な成分は、次のようなものです。
・カテキン
緑茶の渋みの主成分で、「血中コレステロールの低下」「体脂肪低下作用」「がん予防」など、多くの効能が期待できます。
・カフェイン
緑茶の苦みの主成分で、「疲労感、眠気の除去」「持久力の増加」などの効能が期待できます。
・・・・・・
ユーザーは緑茶の成分を知りたいわけですから、カテキンやカフェインという成分の名前をまずダイレクトに伝えます。
予想として「その成分は緑茶の中でどんな働きをしているのか」「栄養や効能はあるのか」という事が知りたいと考えられます。
ですから成分の名前に加え、味に対する働き、その成分が持つ効能も伝えてあげるのです。
単に成分の名前だけでなく、こうしたユーザーが望む情報を端的に伝えてあげるのがWebコンテンツに求められる役割です。
このようにWebから流入するユーザーの多くは、何らかの課題や知識欲を抱えておりすぐに答えを得たいと思う人が多いことを理解しておくべきでしょう。
事例
それでは企業はコンテンツをユーザーに届けるために、実際のどのような工夫をしているのでしょうか。早速、BtoC、BtoBの各事例を見ていきます。
今回は、Googleで任意のキーワードで検索した際に上位表示されるページを基準にして、ピックアップしました。
BtoCコンテンツマーケティング事例 ①
まずは「縮毛矯正」という言葉で検索してみました。縮毛矯正とは、くせ毛の人が薬剤と熱を使って髪をストレートにするための施術です。
次のページは、Google検索上位です。
縮毛矯正とストレートパーマの違い。経歴16年の現役美容師が教えます(町田美容院の知恵袋)
http://kazuhirouno.jp/archives/8841
最初から、すごいWebページが出てきました。
縮毛矯正というキーワードを試しに使って良かった、と思うほどです。
「経歴16年の現役美容師が教えます」というタイトルに加え、顔写真やプロフィールも掲載されています。信頼性が高い印象、記事自体も縮毛矯正に関するあらゆる情報が網羅されています。
内容自体が良質なコンテンツなのがすぐに分かる、というのがこのページです。
さてここでの本題、記事コンテンツの見せ方に注目していきましょう。
アンカーテキストの目次もついているのですが、このコンテンツの凄いところはメイン画像でこの記事で分かることがナビゲートされている点です。
最初のキャッチ画像というとイメージに重きを置くケースが多いと思いますが、このコンテンツではそこに「値段(が分かる)」「失敗しないコツ(が書いてある)」といった、紹介機能も持たせています。さらにイメージカット自体もインパクトがあってきれいなので、まさに最強の作り方だと言えます。
美容室の定番ともいえる「before、afterの写真」はもちろん、よくある質問や疑問「縮毛矯正とストレートパーマの違い」などは、一目で分かるイラストで解説しています。
本文を流し読みをしていてもすぐに理解できるイラストや図というのは、かなり理想的です。
見出しを要所に入れている、強調箇所は太字にしてある、文章を長くしない、段落をこまめに入れていくといった、テキストそのものの見せ方もきちんとセオリーに則って作られています。
あえて気になる点を挙げれば、かなりのロングページだということです。
ページの長さについてはいろんな意見があり、どれが正解かは難しいと言えます。
あまりにも長すぎるのはダメというのもあれば、スマートフォンでの閲覧を考えると縦に長くてもOK、他のページを見なくてもそこで必要な情報が全部とれるのが良いといった意見に分かれるのです。
いずれにしても、機械的に「これぐらいのページの長さが適切」「文字数は何千文字以上」というのはあまり意味がありません。
肝心なのはコンテンツの質、そしてユーザーがそのページにどれぐらいの満足感を持つかです。
またこのWebページは、大手のメーカーや大規模なサロン検索サイトが運営しているコンテンツではありません。
東京の表参道を中心に複数店舗を経営しているとはいえ、ひとつの美容室が運営する記事コンテンツです。
「コンテンツマーケティングも結局は大手や大規模サイトが強いのだろう・・・」という諦めの声を聞くこともありますが、コンテンツの質で十分に大規模サイトにも対抗できる事例でもあります。
BtoCコンテンツマーケティング事例 ②
さてかなりリッチなWebページの紹介から始めましたが、ここまで手が込んでなくても上位表示される記事コンテンツはあります。
たとえば「金婚式」で検索して上位に出てくるのは、次のページです。
金婚式・銀婚式は何年目?結婚記念日の数え方と結婚記念日一覧(日比谷花壇)
http://www.hibiyakadan.com/lifestyle/z_0014/
凝ったイラストや図を使っているわけではありませんが、文章は読みやすい形に整理されています。
入っているのはすべてイメージ画像ですが、その箇所ごとの文章内容に関連しているものが差し込んであります。
コンテンツマーケティングを行っていると日々の運用に追われて、ついつい「とりあえずイメージカットを置いておけば良い」という考えに陥ってしまうことがあります。
読み手がそのイメージを増幅できる、違和感のない写真を置くようにしましょう。
またこのコンテンツ内には複数の結婚記念日が掲載してありますが、きれいな表に加工したりといった特別な事はされていません。
テキストで一覧として記載しているだけですが、リストのように配置して読みやすさは担保されています。
見栄えでなく、ユーザーにとっての読みやすさを第一に考えれば、多くの時間をかけなくても良いコンテンツの見せ方はできるはずです。
BtoBコンテンツマーケティング
BtoBについては、「天然ガス」という言葉で検索してみました。
天然ガスって何?ガスの性質(大和ガス株式会社)
http://www.daiwa-gas.co.jp/gas/
上位表示されたWebページの一つです。
多くのテキストがある訳ではありませんが、ポイントがよく整理されて、普通の生活では馴染みの薄い内容がすぐに理解できるようになっています。
他にもいくつかのワードでめぼしいページを探してみましたが、BtoBでのがっちりとした記事コンテンツというものは、なかなか見当たりませんでした。
BtoBで多く扱われるような馴染み薄い用語、あるいはニッチな製品やサービスこそコンテンツマーケティングに向いていると言われます。
実際にはまだまだこれからといった感じですので、BtoBではまだまだコンテンツマーケティングを広げられる可能性があります。
まとめ
今回の記事で、特に押さえておいて欲しいのは次の点です。
- 記事コンテンツは内容はもちろん、見せ方も大事
- BtoCは好事例が多くあり。今回紹介したWebページなど、同業、他業種を問わず良い所は見習っていきましょう
- BtoB、ニッチなジャンルはまだまだコンテンツマーケティングで伸びていける可能性が大いにあります
追伸:偉そうなことを言っておきながら弊社のブログもしっかりとやらないといけないな〜と今回は反省させていただきました。このようなブログをいつもご覧いただきありがとうございます&すみません。
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