顧客データの管理と活用

 2020.03.28  カスタマーデータ活用ポータル編集部

従来、デジタルとリアルは完全に切り離された世界でした。それがどうでしょう?インターネットの高速化とスマートフォンの爆発的な普及に、デジタルはリアルの世界へとどんどん進行し、今ではごく簡単に2つの世界を行き来するサービスに溢れています。変わったのは我々の生活だけでなく、ビジネスも同じです。

把握が難しかったリアル世界における行動データも、スマートフォンを通じたサービスで多種多様に生まれています。しかも、それらのデータを個別の顧客IDに紐づければ、デジタルとリアル、2つの世界における行動をいとも簡単に把握できてしまうのです。

中国ではその境界線がさらに曖昧で、モバイル決済が普及したことで消費者のあらゆる行動データが個別の顧客IDに紐づかれ、企業はその膨大なデータをリアルタイムに解析しながら、消費者ひとりひとりに最適なサービスを展開しています。いわゆる「OMO(Online Merges With Offline)」という新たな概念です。

本記事でご紹介するのは、顧客データの管理と活用についてです。顧客データの収集・分析が当たり前になった現代社会において、企業はどのようなポイントに注意しながら管理・活用にあたればよいのでしょうか?

顧客データ管理のポイント

顧客データを有効的に活用するために、まず欠かせないのが「管理」です。一口に顧客データといっても数十数百もの種類がありますし、各データを生み出すアプリケーションも異なっている点に着目する必要があります。膨大な顧客データを帳簿で管理するのは当然ながら非現実的であり、必然的に「システムでの管理」が要件として挙がります。では、顧客データはどのようなシステムで管理可能でしょうか?

Excel

普段から使い慣れたExcelで顧客データを管理しようと考えている方も多いでしょう。しかしお勧めはしません。Excelは教育コストがかかりませんし初期投資も不要です(導入済みの場合)。しかし、同時編集が不可能な点、データ消失のリスクが高い点、バージョン管理が難しい点、リアルタイム更新ができない点を考慮すると顧客データ活用を前提として管理には不向きです。むしろ現場にさまざまな混乱を招く原因になるので、顧客データ管理としては適切なシステムではないことを理解しておきましょう。

SFA(Sales Force Automation)

一方SFAは、顧客データ管理を中心として営業活動を効率したり、顧客データを営業部全体の情報資産として管理したりするためのシステムです。ただし、あくまで「営業視点で設計されたシステム」という点に注意が必要です。SFAで管理できる顧客データとは、見込案件の進捗情報や商談履歴、営業担当者の行動履歴や顧客の属性情報(社名、事業規模、担当者、ニーズなど)です。主にB2B領域で使われるシステムなので、あらゆる顧客データを統合して管理するのとは少し意味合いが違います。

CRM(Customer Relationship Management)

SFAに対し、顧客データの管理と活用という点で優れているのがCRMです。CRMは「顧客との継続的な関係構築」を目的としたシステムであり、デジタルとリアルにおける顧客データを統合的に管理し、かつシステムに備わったマーケティング機能でさまざまな施策が展開できます。ただし、マーケティング機能とっても限定的なものが多く、CRMの意義は蓄積した顧客データを他のシステムに出力することで、高度なマーケティング施策を展開することにあるでしょう。

ERP(Enterprise Resource Planning)

ERPは個別最適化が進んできたシステムを1つに統合し、あらゆる機能が連携されたシステム基盤を提供します。SFAやCRMをはじめ、会計システムや生産システムなどあらゆる機能が統合されており、相互に連携が取れているのでデータの二重入力などの手間を無くすことができます。さらに、ERPに生成されたデータはすべて一元的に管理されるため、BI(Business Intelligence)ツールを通じて分析し、経営状況をリアルタイムに把握したり顧客ニーズを掘り下げてさまざまな洞察を得たりできます。

CIAM(Customer Identify And Management)

CIAMは近年新しく立ち上がった市場で、日本語では「顧客アイデンティティ管理システム」といいます。アイデンティティとはつまりIDのことで、顧客がデジタル・リアルで生み出すあらゆるデータを個別のIDと紐づけて管理することで、革新的なサービス提供やマーケティング施策の実施、あるいはユーザーセキュリティの強化などに貢献するシステムです。本記事のテーマである顧客データの管理・活用においては最も目的にマッチしたシステムだと言えます。

顧客データ管理は、「どう管理するか?」を議論するよりも「何で管理するか?」を検討しなければいけません。最終的にはシステム導入が必要ですし、システムによって管理できる顧客データや活用方法が異なります。企業はこれを十分に理解した上で、適切なシステムを選ぶことがとても重要になるでしょう。

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顧客データ活用のポイント

顧客データ管理のための基盤が整えば、次に「活用」に意識を向けます。実は十分な顧客データ基盤を整えているにもかかわらず、それを十分に活用できていないケースは多いのです。では、企業はどのようなポイントを意識すればよいのでしょうか?

分断的な施策とデータを統合する

顧客データを統合的に管理する基盤が整えても、デジタルメディア・マスメディア・店頭施策などのマーケティング施策が分断されたままでは十分な効果が得られません。各施策における担当者が連携を取った上で、システムに蓄積された顧客データをどう活用していくかを?を十分に話し合う必要があります。そのためには、基本的なマーケティング戦略にテコを入れ、全社一貫性の高いマーケティング戦略を立てることから始めましょう。

また、顧客データの範囲が自社データにとどまり、市場全体と分断されている状態も大きな問題です。社内で蓄積される顧客データを活用すれば、実施した施策の効果測定や最適化は進められます。しかし、市場全体が現状どうなっているか?を理解するためのデータと分断されては、新しい付加価値向上につながるような施策は難しいでしょう。市場全体の動きを捉えなければ、いくら顧客データを活用しても機会損失等を大きく生んでしまいます。

個人情報の取り扱いを明確にする

顧客は自分の行動データが収取され、それが個別の顧客IDに紐づけられていることを理解していますし、受け入れてもいます。しかし「自分の個人情報の取り扱いがどうなっているのか?」という不安は無くなりません。これに対しては、企業が個人情報の取扱いに関する説明責任をしっかりと果たし、顧客の安心感を獲得しなければ顧客データ活用は促進しないでしょう。
いかがでしょうか?顧客データ管理のための基盤や、活用のためのノウハウはすでに幅広く提供されています。この機会に、自社の顧客データ管理・活用を見直して、一気通貫したマーケティング施策やサービスを展開できる方法を模索してみましょう。


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