顧客データ活用の4つのポイント|システムを使った管理方法を紹介

 2022.05.15  顧客体験(CX)活用ポータル編集部

インターネットの高速化とスマートフォンの爆発的な普及により、デジタルはリアルの世界へとどんどん進行しています。

把握が難しかったリアル世界における行動データも、スマートフォンを通じたサービスによってリアルな行動データをデジタル上の顧客IDに紐づければ、デジタルとリアルでの顧客行動データを収集できてしまいます。

中国ではその境界線がさらに曖昧で、モバイル決済が普及したことで消費者のあらゆる行動データが顧客IDに紐づかれ、企業はその膨大なデータをリアルタイムに解析しながら、消費者ひとりひとりに最適なサービスを展開しています。いわゆる「OMO(Online Merges With Offline)」という新たな概念です。

本記事では、顧客データの収集・分析が当たり前になった現代社会において、企業はどのようなポイントに注意しながら管理・活用にあたればよいかを解説します。

顧客データが必要な理由

顧客満足度の向上を行い、売上や事業成長を行うためには、あらゆるデータの収集・分析による顧客理解が必要不可欠です。インターネットの高速化とスマートフォンの爆発的な普及により、デジタルはリアルの世界へとどんどん進行しています。

リアルな行動データをデジタル上の顧客IDに紐づければ、デジタルとリアルでの顧客行動データを収集できるようになりました。顧客の行動をよりデータ化できるようになったことで、より顧客理解は複雑になっています。

また、社内の各部署に点在している顧客データを一元管理することで、業務効率化も見込めます。収集した顧客データを一元管理する仕組みがあるとより便利です。

マーケティングに必要な2つの顧客データ

マーケティングに活かせる顧客データは、定量データと定性データの2つに分類されます。

1.定量データ

定量データとは、以下のような数値で把握できる情報のことです。

  • 顧客情報
  • 購入履歴
  • Webサイトのアクセスログ

数値で表すことができるため、顧客属性ごとに細かく比較することができ、マーケティング戦略の基礎データとして活用されます。

収集・蓄積方法

定量データの収集方法は多岐にわたります。顧客情報は、会員登録や商品購入時に必要情報を入力する際に収集するのが自然です。収集した顧客情報に紐づいて、購入履歴が蓄積されます。

顧客情報と購入履歴の顧客データまではセットで保管されていることが多いですが、Webサイトのアクセスログまで連携して収集できている企業は多くはありません。Webサイトの簡単なアクセス解析にはGoogle Analyticsでも十分ですが、顧客情報とアクセスログを連携し行動データを収集するためには、CDPなどのシステムが必要となります。

2.定性データ

定性データとは、以下のような数値で表すことが難しい質的な情報です。

  • 顧客の口コミ
  • クレーム内容
  • 自由記述形式のアンケート結果

数値化できる定量データとは異なり収集や活用が難しい定性データですが、消費者の購買意欲などを分析できることから、顧客理解のためのデータとして活用できます。

収集・蓄積方法

アンケートやインタビューを行うのが定性データの一般的な収集方法ですが、インターネット上の口コミやSNS投稿を分析することで、消費者ニーズを調査することもできます。

また、自社に寄せられたお問い合わせやクレーム内容も貴重なデータです。定量データで得た顧客情報や行動履歴とあわせて分析できると、さらなる顧客ニーズの深堀になるので、定性データを活用できるようになるとさらに分析結果のクオリティ向上に貢献するでしょう。

顧客データの管理方法

顧客データを有効的に活用するためにまず欠かせないのが管理手段です。一口に顧客データといっても数十数百もの種類がありますし、各データを生み出すアプリケーションも異なっている点に着目する必要があります。

普段から使い慣れたExcelで顧客データを管理しようと考えている方も多いでしょうが、顧客データの管理には向きません。Excelは教育コストがかからず初期投資も不要ですが、同時編集が不可能な点、データ消失のリスクが高い点、バージョン管理が難しい点、リアルタイム更新ができない点を考慮すると顧客データ活用を前提とした管理には不向きです。むしろ現場にさまざまな混乱を招く原因になるので、顧客データ管理としては適切なシステムではありません。

膨大な顧客データを帳簿で管理するのは当然ながら非現実的であり、必然的に「システムでの管理」が要件として挙がります。顧客データの管理方法で想定される5つの方法を見ていきましょう。

  1. SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)
  2. CRM(Customer Relationship Management:顧客管理システム)
  3. CDP(Customer Data Platform:カスタマー・データ・プラットフォーム)
  4. ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)
  5. CIAM(Customer Identify and Access Management:顧客ID&アクセス管理)

1.SFA(営業支援システム)

SFAは、顧客データ管理を中心として営業活動を効率化したり、顧客データを営業部全体の情報資産として管理するための営業支援システムです。ただし、あくまで「営業視点で設計されたシステム」であり、SFAで管理できる顧客データは、見込案件の進捗情報や商談履歴、営業担当者の行動履歴や顧客の属性情報(社名、事業規模、担当者、ニーズなど)です。主にB2B領域で使われるシステムなので、あらゆる顧客データを統合して管理するのとは少し意味合いが違います。

2.CRM(顧客管理システム)

顧客データの管理と活用という点でCRMは優れています。CRMは「顧客との継続的な関係構築」を目的とした顧客管理システムであり、デジタルとリアルにおける顧客データを統合的に管理し、かつシステムに備わったマーケティング機能でさまざまな施策が展開できます。ただし、マーケティング機能は限定的なものが多く、CRMの意義は蓄積した顧客データを他のシステムに出力することで、高度なマーケティング施策を展開することにあるでしょう。

3.CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)

CDPは、企業が営業活動の中で集めている顧客情報を収集・統合・分析・管理する顧客管理プラットフォームです。顧客の住所や氏名、性別、メールアドレス、電話番号、顧客のサイト閲覧に関する情報、アンケートの回答、購買情報といった行動データの蓄積はもちろん、CRMなどのサービスと連携した際に得られる外部データと併合して分析・利用をすることも可能です。

自社データを有効利用するためには、顧客データやマーケティングオートメーション、POSなどに集積されたデータにCDPを紐づけなければなりません。CDPは他ツールとの連携により、これら膨大なデータをさまざまな用途で使えるように設定したうえで、営業活動に役立てられます。

CDPについては「ユーザー行動をワンストップで分析するCDP、最適なマーケティングの実現へ」でも詳しく解説しています。参考にしてください。

4.ERP(企業資源計画)

ERPは個別最適化が進んできたシステムを1つに統合し、あらゆる機能が連携された基幹系情報システムです。SFAやCRMをはじめ、会計システムや生産システムなどあらゆる機能が統合されており、相互に連携が取れているのでデータの二重入力などの手間を無くすことができます。さらに、ERPに生成されたデータはすべて一元的に管理されるため、BI(Business Intelligence)ツールを通じて分析し、経営状況をリアルタイムに把握したり顧客ニーズを掘り下げてさまざまな洞察を得たりできます。

5.CIAM(顧客ID&アクセス管理)

CIAMは近年新しく立ち上がった市場で、日本語では「顧客ID&アクセス管理システム」といいます。顧客がデジタル・リアルで生み出すあらゆるデータを個別のIDと紐づけて管理することで、革新的なサービス提供やマーケティング施策の実施、あるいはユーザーセキュリティの強化などに貢献するシステムです。本記事のテーマである顧客データの管理・活用においては最も目的にマッチしたシステムだといえます。

顧客データ管理は、「どう管理するか?」を議論するよりも「何で管理するか?」を検討しなければいけません。最終的にはシステム導入が必要ですし、システムによって管理できる顧客データや活用方法が異なります。企業はこれを十分に理解した上で、適切なシステムを選ぶことがとても重要になるでしょう。

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顧客データ活用のポイント

顧客データ管理のための基盤が整えば、次に「活用」に意識を向けます。実は十分な顧客データ基盤を整えているにもかかわらず、それを十分に活用できていないケースは多いのです。顧客データを活用するポイントは次の4つです。

  1. 分断的な施策とデータを統合する
  2. クロスセル・アップセルを狙う
  3. 多彩なデータ分析手法から最適なものを選ぶ
  4. 個人情報の取り扱いを明確にする

1.分断的な施策とデータを統合する

顧客データを統合的に管理する基盤が整っても、デジタルメディア・マスメディア・店頭施策などのマーケティング施策が分断されたままでは十分な効果が得られません。各施策における担当者が連携を取った上で、システムに蓄積された顧客データをどう活用していくかを十分に話し合う必要があります。

また、顧客データの範囲が自社データにとどまり、市場全体と分断されている状態も大きな問題です。社内で蓄積される顧客データを活用すれば、実施した施策の効果測定や最適化は進められます。しかし、市場全体が現状どうなっているかを理解するためのデータと分断されては、新しい付加価値向上につながるような施策は難しいでしょう。市場全体の動きを捉えなければ、いくら顧客データを活用しても機会損失等を大きく生んでしまいます。

そのために、全社一貫性の高いマーケティング戦略を立てることから始めましょう。

2.クロスセル・アップセルを狙う

既存顧客の顧客データを活用してクロスセルやアップセルを狙う方法は、新規の顧客開拓をするよりもコストが5分の1になるという1:5の法則もあるくらい、既存顧客へのアプローチは営業活動の大きな基礎となります。

顧客データから優良顧客を抽出することで、新商品やサービスの訴求やロイヤリティに応じた優待サービスなど、既存顧客に最適なマーケティング施策を行うことができます。

3.多彩なデータ分析手法から最適なものを選ぶ

顧客データを分析すれば、戦略的なマーケティングを行うことができます。顧客データを用いた代表的な4つの分析方法を紹介します。

  1. セグメンテーション分析
  2. バスケット分析
  3. RFM分析
  4. デシル分析

1.セグメンテーション分析

セグメンテーション分析は、顧客の居住地などの地理的変数、年齢や性別・家族構成などの人口動態変数、ライフスタイルや価値観などの心理的変数、購入履歴などの行動変数の4つの分類で顧客をグルーピングする分析です。

分析によって有利に事業展開できる市場を見つけることができれば、競合との競争を避けつつ売上向上が見込めます。

2.バスケット分析

バスケット分析とは、買い物かごを1単位として、特定の商品と一緒に購入される傾向のある商品を見つけるための手法です。実店舗のPOSデータ、ECサイトの購入履歴などが対象となります。

セットで売れている商品を見つけることで、買い物をする顧客に共通の傾向を見出すことができれば、店内の商品配置や販売強化キャンペーンに応用されて客単価の向上につながります。

3.RFM分析

RFM分析とは、最終購入日(Recency)、頻度(Frequency)、購入金額(Monetary)の3つの指標を用いて顧客をグループ化する手法です。切り分けたグループごとにマーケティング戦略を考えることができます。

たとえば、「RとFの数値は高いが、Mの数値は低い」グループは、「購入頻度の高いリアルタイムの顧客であるが、購入単価が低い」と定義できるため、客単価を上げる施策につなげられます。

4.デシル分析

デシル分析とは、購入履歴データをもとに全顧客を購入金額の高い順に10等分し、各グループの購入比率や売上構成比を分析する手法です。売上構成比率によって、優良顧客層を抽出することができます。

1,000名の顧客を10のグループにそれぞれ100名ずつ割り振ると、構成する人数は同じですが売上の比率がそれぞれ異なってくることが見えてきます。例えば売上を1,000万円と仮定して、上位2グループが売上全体の80%、3位以降のグループで売上の20%を構成している場合、上位200名の顧客が800万円の売上に貢献していることが判明します。単純な顧客単価を売上と顧客数で算出すると平均顧客単価は1万円ですが、実際は上位200名の顧客単価が4万円、下位800名の顧客単価は2,500円という正しい顧客単価を割り出すことができます。

  平均顧客単価 実際の顧客単価

グループ1~

~グループ10

1万円 上位200名 4万円
下位800名 2,500円

デシル分析で抽出した優良顧客に対して新商品の先行キャンペーン配信や限定クーポン配布などのマーケティング施策を講じることで、リピート率や売上向上につなげていくことができます。

4.個人情報の取り扱いを明確にする

近年、顧客は自分の行動データが収集され、個別の顧客IDに紐づけられていることを理解し、受け入れています。しかし「自分の個人情報の取り扱いがどうなっているのか?」という不安は無くなりません。この不安に対して、企業が個人情報の取扱いに関する説明責任をしっかりと果たし、顧客の安心感を獲得しなければ、顧客データ活用は促進されないでしょう。

まとめ

顧客データを蓄積し顧客ニーズを分析することで、顧客満足度向上や売上につながるため、あらゆる顧客データの収集・分析による顧客理解が必要不可欠です。

顧客データ管理のための基盤や、活用のためのノウハウはすでに幅広く提供されています。この機会に、自社の顧客データ管理・活用を見直して、一気通貫したマーケティング施策やサービスを展開できる方法を模索してみましょう。

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