2015年、Webマーケティングの分野において注目となったワードの一つに「データフィード広告」というものがあります。マーケティングに関わる方なら、誰もが一度は耳にしたことがありますよね?
データフィード広告は今後需要が拡大する市場であることは確実なのですが、未だ「データフィード広告ってなんぞや?」と詳しく知らない方もまだまだ多いはずです。そして、もしかすると知らないことで大きなビジネスチャンスを逃してしまってるかもしれません…。
しかし、注目され出してから時間が経っているので、いまさら人に聞くのも恥ずかしいですよね。ご安心ください。ここではいまさら人に聞けないデータフィード広告について分かりやすく解説していきたいと思います。
今後広告効果を最大化するためにも、是非知っておきましょう。
広告効果を最大化するデータフィード広告
現在、様々な広告配信プラットフォームが提供されていますが多くの企業が活用するプラットフォームは1つないしは2つ程度だと言われています。そんな中「広告効果がなかなか上がらない」と悩んでいるマーケターの方々も多いでしょう。こういった課題は、広告配信プラットフォームを増やすことで解決できるかもしれません。
広告配信先の母数が増えればその分カスタマーの目につくようになり、ビジネスチャンスは広がります。また、Criteo(※1)を始めとした動的リターゲティング広告なども活用すれば、自社サービスや商品の潜在顧客へと効率的に広告配信が可能ですね。
しかしここで問題が一つ。それは、“各プラットフォームによってデータフォーマットが違う”ということです。
複数のプラットフォームに広告配信するためには、都度フォーマットを変換して送信しなければなりません。これは手動でやるとなるとかなりの業務負担であり、特に商品数が多かったり在庫の変動が激しい商品ともなると現実的ではありませんね。
でも「やっぱり複数のプラットフォームに広告配信したい!」ここで登場するのが、データフィード広告です。
データフィード広告とは、異なるデータフォーマットを持つ複数の広告配信プラットフォームにおいて自社サービスや商品のデータを自動で変換・送信します。つまりこれまで現実的ではなかった複数のプラットフォームへの広告配信を可能としているのです。しかも、自動で運営してくれるのでマーケターの業務負担は大幅に軽減されます。
いかがでしょうか?データフィード広告の概要をちょっとかじっただけで、マーケターの方からすれば夢のようなサービスですよね。
※1:Criteoとは2011年に登場したフランス発の広告配信プラットフォームであり、カテゴリとしては動的リマーケティング広告に分類されます。Yahoo!トップページに広告配信できることや、リーチ数が世界10億人以上とGoogleディスプレイネットワークに次いで2位など、注目を集めています。
対応プラットフォーム
CriteoやGoogle商品リスト広告(PLA)など広告枠を設けている配信先への活用が目立つデータフィード広告ですが、実は対応プラットフォームは他にもあります。
- 商品リスト型広告…Googleショッピング、価格比較サイトなど
- リターゲティング型広告…Criteo、Googleリマーケティング広告など
- ECモール系…楽天、Amazonなど
- アフィリエイト…A8net、JAnetなど
- アグリゲーションサイト…Indeedなど
このように、データフィード広告にて配信できるプラットフォームは幅広く、横断的に広告配信することで広告効果を最大化することができるのです。
4つの運用方法
データフィード広告の運用方法として、現在4つの選択肢があります。それぞれの特徴を確認していきましょう。
1. 手動で運用
もっともシンプルな運用方法ではありますが、前述したように商品数が多かったり在庫変動が激しい場合は現実的な方法ではありません。ただし、商品数や在庫変動の少ない場合はそもそもデータ更新の必要性があまりないので運用可能です。
2. システム開発で運用
自社でデータフィード広告用システムを開発し運用する方法ですが、システムを自由にカスタマイズできる点がメリットです。しかし、エンジニアリソースが確保されていることが前提となります。
3. データフィード広告提供会社に運用委託
データフィード広告の運用をアウトソーシングするという方法です。継続的にコストがかかりますが、業務効率化や提供会社独自のノウハウを活用できるなど様々なメリットがあります。
4. DFOツールを使用して運用
DFOとは「Data Feed Optimization:データフィード最適化」の略であり、ツールを導入することでデータフィード広告を簡単に運用することができます。エンジニアリソースが不足している場合でもマーケターのみで運用可能なため、中小~大企業まで導入メリットがあります。また、利用料金も月額数万円~と安価なのが特徴です。
以上がデータフィード広告の運用方法ですが、おそらく多くの企業で1と2の方法が除外されると思います。1は説明するまでもありませんが、2ではエンジニアリソースが確保できていたとしても開発費や運営費の問題であまり得策とは言えません。
やはり3のデータフィード広告提供会社に委託するか、4のDFOツールを使用するのが現実的と言えるでしょう。
データフィード広告を活用した方がいいケース
ここまでの解説でデータフィード広告のメリットを既に感じている方も多いかと思います。しかし、必ずしも全ての企業においてデータフィード広告が有効であるとは限りません。
では、データフィード広告を活用した方がいいケースとは一体どのようなものなのでしょうか?
商品数が多い、在庫変動が激しい
商品数やカラーバリエーションが多かったり、在庫変動が激しい場合は常に広告のマスターデータを更新しなければなりません。そうでなければ機会損失を招く可能性があるからです。このため手動でデータフィード広告を運営するのはまず現実的ではありませんね。
こういったケースでは提供会社に運用委託したり、DFOツールを導入するメリットが大いにあります。
カスタマーとのタッチポイントを増やしたい
広告配信先が少数でカスタマーとのタッチポイントが十分に確保できていないのは、広告効果が現れない原因の一つでもあります。しかし、配信先を一つ増やすだけでも業務負担が大きくなるのは確実です。
「カスタマーとのタッチポイントを増やしつつ業務負担の増加を抑えたい」データフィード広告はそんな課題も解決します。
マーケター、エンジニアリソースが不足している
データフィード広告を自社で運営するためには、マーケター、エンジニアリソースが必要不可欠です。しかしこういった人的リソースが不足していたり、そもそも確保できていないという企業では複数のプラットフォームをまたいだ広告配信は難しくなります。
そこで提供会社への運用委託やDFOツールを導入することで、リソースを確保せずにデータフィード広告が可能となります。
これらとは逆に商品数や在庫変動が少なかったり、そもそもカスタマーとのタッチポイントを増やす必要がないといった企業では、データフィード広告の必要性はあまり感じられないかもしれません。
なぜデータフィードが必要なのか?
2015年に続き2016年においてもWebマーケティングの中心となりつつあるデータフィード広告ですが、そもそもなぜ必要なのか?それは、カスタマーとのタッチポイントの多様化とデバイスの多様化にあります。
タッチポイントの多様化
従来のカスタマーの購買行動と比較して、現在の購買行動が多様していることは周知の事実かと思います。サービス・商品に対する情報をキャッチしたカスタマーはFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアで口コミを確認、価格比較サイトやECモールで比較した後にスマホアプリなどを活用して購入する。単純に考えても一つの商品を購入するために3つ以上のプロセスを踏みます。
マスマーケティング時代やソーシャルメディアなどが登場する以前に比べると、実に多様化していますね。そして各プロセスの一つ一つがカスタマーとのタッチポイントであり、適切にサービス・商品をアピールできなければ販売機会を逃してしまいます。
このように、カスタマーとのタッチポイントの多様化により複数の広告配信プラットフォームを横断的に活用するニーズが増加しているのです。
デバイスの多様化
多様化したのはタッチポイントだけでなく、PC・スマホ・タブレットなどのデバイスも同様です。特にスマホを使用したECショップ利用などは既にPCの使用率を上回り、全てのデバイスにおいて広告を最適化させなければ販売機会を逃してしまいます。
データフィード広告を活用することで、広告配信プラットフォームごとにデータフォーマットを変換するだけでなく、デバイスごとに広告を最適化させることも可能なのです。
まとめ
いかがでしょうか?今回は今更人には聞けないデータフィード広告について解説しました。以上のようにデータフィード広告に大きなメリットと可能性を感じることができますが、導入にはやはり慎重さが必要です。
「よし!うちもデータフィード広告を導入しよう!」という勢いも大切ですが、まずは導入の必要性を検討し、ROI(投資費用利益率)をしっかりと計算した上で導入に踏み込んでください。多くの企業にとってメリットのある施策ですが、少なからず導入に失敗している企業も存在しているということを忘れてはいけません。
また、導入に関しても提供会社やツールの選定を慎重に行い、自社に最適なデータフィード広告を実現させせることが大切です。
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