メールを利用したマーケティング活動は、インターネット黎明期から既に存在し、現代においても強力なマーケティングツールとして多くの企業に活用されています。
活動内容としてはまちまちで、商品やイベントを告知するために利用している企業が多いようです。もしくはセミナーの集客など。しかしその利用方法は果たして正しいのでしょうか?
今回は、メールマーケティングに関する基礎知識や最新トレンドなどを紹介していきたいと思います。
メールマーケティングとメルマガ配信の違い
メールマーケティングとメルマガ配信の違いを曖昧に理解している方は多いかと思います。しかし、この2つの違いを明確に知っているかいないかで、今後のマーケティング活動が違ってくるかもしれません。
まずメルマガ配信とは「不特定多数のユーザーに対し、定期的な日時に配信する同一のメール」です。必ずしも定期的である必要はありませんが、いずれにしろ「同一のメール」を配信しているのがメルマガ配信となります。 多くの場合、このメルマガ配信は巨大なリンク集になりがちな特徴を持っています。
対してメールマーケティングは「ユーザー個々に最適化されたメールを、最適なタイミングで送信しユーザーのアクションを促す」ものとなります。つまり単にメールを配信するのではなく、パーソナライズされた内容のメールを予め調査した時間帯に送信し、尚且つ訴求力の強い内容でユーザーのアクションを促します。
具体的にはユーザーの性別や年齢などの属性情報や、ネット上での行動、そのユーザーのライフサイクルステージなど行動的変数に基づいてパーソナライズされたメールを送信します。
メールマーケティングの最新トレンド
メールマーケティングのトレンドは常に変化しています。具体的にそのトレンドをご紹介しましょう。
オムニチャネル化
オムニチャネル化とは複数の販売チャネルを統合することで、これまでにない顧客体験を提供するという取り組みです。数年前に米国の大手百貨店が取り組みに成功したことで、世界中へ一気に広がりました。
オンラインショップやSNS、スマホアプリや実店舗でのサービスなど、これらの販売チャネルを統合することで得られるメリットは計り知れません。
このオムニチャネル化ではメールマーケティングも重要な役割を果たします。
メールマーケティングを単体のマーケティング活動として捉えるのではなく、メールからSNSやオンラインショップへ誘導したり、あるいは後述するインタラクティブメールによってメール内で購買を促すことも可能です。
MA(マーケティングオートメーション)
数年前から徐々に注目され、現在多くの企業に導入されるようになったMAは、メールマーケティングを支援するツールでもあります。
文字通り「マーケティングを自動化する」ツールであり、あらかじめ設定したシナリオに沿ってメールマーケティングを展開することが可能です。また、スコアリング機能やライフサイクルステージ管理により確度の高い見込み客を抽出し、さらに自動でフォローアップメールを送信するなど、様々な機能でメールマーケティングを支援します。 例えば価格ページを閲覧中のユーザーに営業から自動でメールを出すことなどが可能です。
そのMAツールを活用したシナリオ策定は、マーケターの腕の見せ所と言えるでしょう。
インタラクティブメール
これまでのメールマーケティングと言えば訴求力の強い内容とCTAボタンを設置し、メールからWebサイトやSNSなどの販売チャネルへと誘導するのが一般的でした。従ってユーザー心理を読み解き、如何にCTAボタンをクリックしてもらうかが鍵だったかと思います。
一方インタラクティブメールとは、メール文内で好きな商品を買い物かごに入れられたり、あるいは長文部分を折りたためたりと、ユーザーの利便性を高めつつ収益性のアップも見込める施策です。
海外ではすでに取り組みが進んでおり、今後日本でも徐々に拡大していくのではないかと思います。
メールのTSL暗号化
近年サイバー攻撃による被害が相次いでいますが、狙われるのは大手企業だけではありません。攻撃技術の進歩によってサイバー攻撃は簡素化され、素人でも攻撃キットさえあれば簡単にサイバー攻撃を実行できる時代です。
そんな中、メールは攻撃者の標的になりやすい部分であり、メール内容を不正に閲覧されてしまったり改ざんされてしまう可能性があります。
こうした状況に対しGoogleはGmailのセキュリティ強化対策を施し、TSL暗号化を採用しています。
HTML5ビデオ
iOS10がHTML5ビデオへのサポートを開始したことで、メール内で動画を再生させることが可能とりました。日本ではまだまだ取り組みが始まったばかりですが、海外ではすでに多くの企業が取り入れているマーケティングの一つです。
メールマーケティングと業務システム
現代的なマーケティングは、ユーザーのライフサイクル全般を管理しながら的確なメール配信を行う必要があります。
今までのようにマーケティングが保有するリードだけに大量のメールを配信しているとオプトアウトの山が気づきあげられてしまう懸念があります。
メール配信の担当者は、クリック率や開封率を上げるために文面を考えたりと試行錯誤しますが、それだけでは限界にきていることも事実です。
なぜならそれらメール配信システムは、顧客の動向などを分析できないからです。
もし、クリック率が4%を下回っている場合には「クリック率を改善したい方のための失敗しないメルマガの書き方、進め方」をご確認ください。
そのためには企業が抱えるユーザーリストを一気通貫で管理できるシステムが必要になります。つまりMAツールと業務システムとの連動が必要になってきます。
とりわけ多くの企業では、顧客管理システム(CRM)を導入しているケースがあるでしょう。CRMシステムにもメール配信機能があるものもありますが、どちらかと言うと営業部門などが使うことが前提のシステムのため、現代的なきめ細かなマーケティング活動には不向きです。
つまり、メールマーケティングを行うためのMAツールとCRMが緊密に連携されている必要があるのです。
顧客管理システム(CRM)とメール配信機能が連携されているメリットは、顧客情報を参照しつつメールマーケティングを実践できるという点です。顧客管理システムに記録されている情報をもとにシナリオを設定すれば、効果的なマーケティング活動を実践することができます。
メールマーケティングの始めた
まず大切なのはメール配信を行うためのシステムと、情報収集基盤を整えるということです。メールマーケティングは基本的にパーソナライズされた内容のメールを送信するので、まずは顧客を理解するところから始めます。
そのためには顧客に関する情報が必要です。だからこそ情報収集基盤が必要になり、顧客情報を蓄積していかなければなりません。
また、顧客情報が整っていれば過去の案件を参考にしてシナリオを設定することもできるので、やはり第一に情報が重要です。
また、MAなどのメール配信システムはシナリオごとにメールを送信できる機能や、業務システムと連携性の高いシステムを選ぶことをおすすめします。
まとめ
いかがでしょうか?
ネット上は常に変化の連続です。メールマーケティングは普遍的なマーケティング施策の一つですが、今後もトレンドは変化し続けていきます。
メールマーケティング担当者としては、メールマーケティングのトレンドや最新情報をいち早く察知して、常に時代に合わせてマーケティングを展開していくことが重要です。
最新動向などを把握した上で様々な施策を取り入れていきましょう。
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