CXで実現する製造業のデジタルトランスフォーメーションとは?

 2021.09.08  カスタマーデータ活用ポータル編集部

不確実性の高まる現代において、日本の製造業も過酷な国際競争の中で生き抜くために大きな変革が求められています。そこで重要となってくるのがDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入と、CX(顧客体験)の向上に向けた取り組みです。本記事では、DXとCXそれぞれの概要や両者の関係について解説します。

製造業におけるDXとは

そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタルデータやIT技術を活用して収益モデルを変革することを意味します。現在、日本においてはビジネスの様々な領域でDXの推進が要請されており、それは製造業においても例外ではありません。

製造業におけるDXの主な活用例としては「データの収集・連携」「AIによる予測」「3D設計やシミュレーションによる製品開発の高速化」「変種変量の生産」「柔軟な工程変更」などの実現が挙げられます。また、製造業の課題である人材不足や技術継承問題の解決においても重要な役割を担います。

なぜDXの実現が求められているのか

なぜ製造業において今DXの必要性が高まっているのでしょうか。

従来、日本が「モノづくり大国」として国際的に高い評価を受けてきた背景には、職人芸と言われるような高度な技術力を持った現場作業員の貢献が大きくありました。しかし、少子高齢化による労働者不足に加え、「重労働」「危険」などのマイナスイメージによって、製造業の現場においては人材不足や技術継承問題が長年の課題となっています。

このような状況下で、DXは作業員に属人化していた技術をデジタルデータに変換して機械で代用したり、AIやIoTなどを用いてセンサー類を充実することで事故や不良品の発見精度を向上したりといった、業務の「自動化」や「効率化」、「品質向上」効果などが期待できます。また、市場動向を正確に把握し、市場需要に合致した製品を提供するためにもビッグデータやAIの活用は欠かせません。

製造業におけるIT活用の推進を象徴する言葉が「インダストリー4.0」という概念です。これはIoTによって収集されたあらゆる情報をAIが分析・活用することを通して産業構造を変革していくことを意味します。インダストリー4.0は、「蒸気機関による変革」「電力による変革」「コンピューターによる変革」に続く「第四次産業革命」につながりうるものです。

インダストリー4.0は元々ドイツの国策的なハイテク戦略として提唱されたものですが、IoTやAIを積極的に産業に活用していこうとする潮流はグローバルに進んでいます。しかし、日本におけるDXの取り組みは、製造事業者に限らず多くの企業において未着手または一部分での実施に留まっており、十分に進んでいるとは言えません。日本の製造業が今後国際競争力を確保するためにDXを推進していく上では、経営ビジョンや長期戦略策定による方向付けや、IT環境の構築・活用など、部門横断的な取り組みが必要です。

製造業におけるDX実現のメリット

製造業においてDXを実現させる主なメリットとしては、生産性の向上や業務効率化、工場全体の見える化、ニーズに合った新製品・サービスの開発などが挙げられます。

IoTやAIを活用した工場を「スマートファクトリー」と呼びます。IoTネットワークに接続されたセンサーをラインに設置したり、機械設備のパフォーマンスデータをクラウドに保存したりすることで、異常検知、予防保守、製品やプロセス品質の向上などに役立てることが可能です。

また、AIは工場内のデータ分析はもちろん、マーケティングや経営戦略の策定などに活用できます。これによって企業は顧客ニーズに合わせた新製品を開発し、データ駆動型のビジネスを実現できるでしょう。

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CX(カスタマーエクスペリエンス)とは

DXとともに近年重要視されている概念として、CX(カスタマーエクスペリエンス)が挙げられます。CXとは日本語で「顧客体験」ないしは「顧客体験価値」と訳され、マーケティング、セールス、カスタマーサービスなど、顧客と企業が取り引きする上で生じる全てのやりとりの総体、あるいはそこで生じる感情体験の質を意味します。

顧客が何らかの商品やサービスについて、「これは良い/悪い」と価値づけをするとき、その評価に影響するのは商品自体の価値や性能だけではありません。実店舗を利用するのであればお店の雰囲気や接客態度なども重要ですし、ECサイトの利用ならサイトデザインやインターフェースの快適性が評価に影響を与えます。また、疑問やトラブルが生じたときのカスタマーサポートの対応も無視できません。もしそこで顧客に不誠実な対応をしてしまったら、そこまで積み上げてきた好評価も台無しになってしまうでしょう。

そのため、リピーターを獲得するためには、企業は商品を売ったらそれで終わりではなく、あらゆる顧客接点において顧客に寄り添った質の高いCXを提供する必要があるのです。CXは当初、企業と消費者間のビジネスであるB2Cにおいて主に使われていた概念ですが、現在では企業間ビジネスであるB2Bにおいてもその重要性が注目されています。むしろ比較的短期間での関係が多いB2Cに比べて、B2Bにおいては関係が長期化しやすく、よりCXが重要だと言えるでしょう。

CX(カスタマーエクスペリエンス)の重要性

製造業においてCXの重要性が増している理由としては、インターネットの普及による顧客活動の多様化や体験価値の変化などが挙げられます。

スマートフォンが普及し、誰もがインターネットに接続できる現在、顧客は様々な方法で情報を取得し、指先ひとつで自分の好きな商品を選べます。そのため、企業は顧客を自社に引き留めるために、そのニーズに耳を傾け、期待以上のサービスを提供しなければなりません。

しかし、現代は物が飽和している時代でもあります。類似商品が溢れている今、商品自体によって他社と差別化することはより難しくなっており、企業はそれ以外の付加価値によって顧客に訴求しなければいけません。だからこそ、優れたCXを提供し、継続的に取り引きしたいと思ってもらうことが重要なのです。現代が「モノ売り時代」から「コト売り時代」にシフトしているというのも、まさにこうした理由によります。

CXを向上されるメリット

CXを向上することによる主なメリットとしては、顧客満足度の向上によるブランドイメージの向上やロイヤルカスタマー・リピーターの獲得などが挙げられます。

優れたCXは顧客満足度を向上させ、ブランドイメージを高めるのに寄与します。現代の消費者は商品やサービスをただ享受するだけでなく、SNSなどを通してその感想を多くの人に広げる情報発信者としての性格を持っています。同じ顧客という立場で為される口コミは、企業発信の情報よりも信頼されやすく、ときには大きな宣伝効果を生み出します。

また、顧客満足度の向上は当然ながらリピーターの獲得に直結します。優れたCXを提供することによって企業はかけがえのない存在として顧客に認知され、競合他社へ流れることを抑止するでしょう。その結果、自社ブランドに愛着を持ち、長期的に売上に貢献してくれるロイヤルカスタマー・リピーターの育成が可能になります。先述の通り、ロイヤルカスタマーは宣伝の担い手として新規顧客を連れてきてくれる場合もあるでしょう。

DXとCXの関係性

ここまで解説してきたように、DXとCXはどちらも企業が今後成長していく上で必要不可欠なものですが、両者はどのように関係しているのでしょうか。結論から言えばDXとは、CXを向上させるための重要な手段として位置づけられるでしょう。

たとえばオンラインショッピングの普及は、それ自体が劇的なCXの向上を意味します。顧客は家にいながらしてショッピングを楽しみ、外国からでも商品を取り寄せることが可能です。とりわけ新型コロナウイルスのパンデミックによって3密の回避が社会的に求められる中、ECサイトはもちろん、動画ストリーミングサービスなど、デジタルサービスが大きな需要を集めています。

また、顧客接点のチャネル増加もCXに寄与するDX例として挙げられます。たとえばカスタマーサービスにチャットボットを導入すれば、24時間365日体制で顧客対応の自動化が可能です。また、TwitterやLINEなどSNSを活用することによって、顧客への情報発信を強化し、自社への親しみやすさを覚えてもらうことが期待できるでしょう。

DXの例は多岐に亘りますが、いずれにせよ重要なのはそれが最終的にCXの向上に貢献することです。企業は無節操に何でもデジタルに置き換えるのではなく、目的意識を持って行わなければなりません。その際の指針となるのが、CXの向上なのです。今後は顧客接点を増やしつつ、DXを促進しながらCXの最大化を追求することがますます求められるでしょう。

SAPが提供するCXソリューション

DXによっていかにしてCXを高めていくべきか、という問いに対する答えのひとつが、SAP社の提供する「SAP CXソリューション」です。SAP CXソリューションはNTTデータなど、豊富な導入実績を持っており、顧客接点の増加や新しい顧客体験の提供など、CXの価値向上に不可欠な機能を提供しているITツールです。

SAP CXソリューションでは、企業全体のあらゆるデータを収集した統合型顧客プロファイルを活用することで、サービス向上に寄与する顧客ニーズの正確な把握に役立ちます。また、SAP のソリューションポートフォリオを活用すれば、顧客に適切なタイミングでメッセージを送信し、顧客エンゲージメントを高めることもできるでしょう。SAP CX ソリューションを導入することで、企業はセールス、サービス、マーケティングなどの各プロセスを迅速にデジタル化し、優れたCXを実現できるのです。

まとめ

DXはAIやIoTなどIT技術の活用によってビジネスを抜本的に変革することを意味します。また、CXは商品やサービスに関わる顧客体験の価値を意味する言葉です。DXはCXを高めるための最も有用な手段のひとつです。熾烈な市場競争の中を生き抜き、確固としたブランド価値を築くためには、DXを活用してCXの価値を高めることが、今後より強く求められることでしょう。


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