Googleはユーザーの検索意図をくみ取って、最適な検索結果を返すようになっています。そのための機能を、Googleは日々強化しておりロジックの変更を行なっています。
その一方でオウンドメディアを運営する側としては、SEOにおいて記事コンテンツはもとよりデータベースをもとにした情報の一覧ページなど、さまざまな形態のページを用意しています。これらのページが、検索シーンによって検索結果上位に出てくるケースもありますし、出てこないケースもあるでしょう。
検索意図という視点で見ると、どのような違いで「出てくる」「出てこない」が決まるのかと疑問に思う方も多いはずです。
本稿では、「漠然としたニーズ」と「ハッキリとしたニーズ」で、検索結果の上位に出るコンテンツ形式に違いがあるのか を検証します。コンテンツ形式は大きく「記事型ページ」と「リスト型ページ」「キュレーションページ」に分けて確認していきます。ご確認いただければ幸いです。
検証1:食事
検索キーワードを入力する場合、大きく分けてそのキーワードは次のように分類されます。
- 方向性がある程度はっきりしたもの
- 漠然としたイメージしかないもの
それぞれの軸をもとに、検証を進めてみました。3位くらいまでにランクインしているWebページを中心に見ていきます。
方向性がハッキリしたデートのニーズ:デート イタリアン
漠然としたデートのニーズ:デート 食事
「デート イタリアン」の検索だと、(イタリア料理を食べながらのデートがしたい)、つまりどんな料理を食べたいかという意図が明確です。一方で「デート 食事」だと、デートでどんな料理が食べたいかがハッキリしません。
Googleの検索結果、「デート イタリアン」では検索結果の1位は食べログの検索結果ページでした。この記事ではこうしたデータベースの検索結果、情報の一覧ページを「リスト型ページ」と呼ぶことにします。2位、3位もリスト型ページになります。
ニーズが漠然とした「デート 食事」の方だと、オススメのお店をピックアップして紹介する記事ページが1位です。こうした記事型のキュレーションや特集ページを、ここでは「記事型ページ」と呼ぶことにします。
2位も記事型ページです。内容的には読み物なので、お店のピックアップとは少し異なります。3位はリスト型ページになります。
明確にイタリアンでデートと決まっているのに対し、「デート 食事」だと検索結果1位がデートにオススメのお店をピックアップした記事型ページ、また2位と3位で違う傾向のページが出るなど、検索ニーズが曖昧な場合は幅がある検索結果が返されているようです。
次の漠然としたニーズを少しだけ明確にしたワードで、検索してみましょう。
デート ランチ
料理の種類までは決めていないものの、漠然とした食事よりもシーンを限定させた「デート ランチ」で検索してみました。
1位、3位はリスト型ページでした。2位はリスト型に近いですが、データベースではなく人力で選んだお店をピックアップしています。これをここでは「キュレーション型ページ」と呼ぶことにします。
ここまで見ていくと、デートで行く食事のジャンルまで決まっているとリスト型ページが出るのではないか? という予想がされます。
漠然としたニーズ
「デート 食事」
- 1位 記事型ページ
- 2位 記事型ページ
- 3位 リスト型ページ
「デート ランチ」
- 1位 リスト型ページ
- 2位 キュレーション型ページ
- 3位 リスト型ページ
ハッキリとしたニーズ
「デート イタリアン」
- 1位 リスト型ページ
- 2位 リスト型ページ
- 3位 リスト型ページ
再び料理のジャンルを絞ってみましょう。
デート 中華
デート 和食
料理のジャンルを和食と中華に絞り検索してみました。
「デート 中華」
- 1位 リスト型ページ
- 2位 リスト型ページ
- 3位 リスト型ページ
「デート 和食」
- 1位 キュレーション型ページ
- 2位 リスト型ページ
- 3位 リスト型ページ
和食の1位はキュレーション型ページですが、あとはすべてリスト型ページですね。記事型ページは出てきませんでした。
食事で見ていくと、漠然としたニーズでは記事型ページ、意図がハッキリしてくるとリスト型ページというのが見えてきます。
検証2:旅行、観光
次は旅行や観光をテーマにして、同じ形で検索をしてみましょう。
行先がハッキリしたニーズ:奈良 観光
漠然とした出かけ先のニーズ:寺社 巡り
行き先がハッキリしたものとして「奈良 観光」を、漠然としたものとして「寺社 巡り」で検索してみました。
「奈良 観光」では1位が記事型ページ、2位と3位が幅広い意味でのキュレーション型ページでした。幅広い意味としているのはキュレーションページが集まったインデックスページみたいなものが出て、先ほどの食事の章で紹介した形とはやや異なったからです。この記事でキュレーションと呼んでいるのは人力が多く入るという部分なので、その意味でキュレーションに分類することにしました。
「寺社 巡り」の1位は記事型ページです。ここもいくつかの記事を集めたインデックスページが表示されますが、内容は記事コンテンツを集めているので記事型ページに分類しました。
2位、3位はリスト型ページ。つまりデータベースをもとにした検索結果ページです。
2位は全国、3位は東京で絞り込んだページでした。私は東京で検索しているので、他の地域からだったら3位の対象エリアは変わるかもしれません。大阪市だったら大阪、仙台だったら宮城、あるいは範囲を広げて東北といった具合ですね。エリアが関わるものは、その地域が検索結果に精度良く反映されるようになっています。
先ほどは「奈良 観光」としましたが、「奈良 旅行」とするとどうなるでしょうか。
奈良 旅行
「奈良 旅行」では1位と3位が大手旅行会社のリスト型ページ、2位が記事型ページでした。旅行というキーワードが入ると何となく旅行会社の検索結果ページになるんだろうなあ、という予測がつきますが、リスト型ページの間に記事型ページが入るというのも面白い結果でした。
ただし「奈良 観光」という検索結果の傾向とは、共通点を見出せません。旅行と観光は意図そのものが違う気もします。
他の地域と観光を組み合わせて検索してみましょう。
金沢 観光
「金沢 観光」では、1位から3位までが記事型ページでした。
「奈良 観光」は1位が記事型ページで、2位と3位がキュレーション型ページでしたから、完全に一緒ではありませんが傾向は似ていますね。両方ともリスト型ページは出ませんでした。
「寺社 巡り」に対して、もう一つ漠然としたワードで検索してみましょう。
日本の名所 巡り
「日本の名所 巡り」という言葉で検索してみました。寺社よりももっと漠然とした感じです。
1位と2位はリスト型ページ、3位は記事型ページでした。2位は東京に限定されていましたから、これも検索を実行した場所が反映されているのでしょう。
「寺社 巡り」の検索結果は1位が記事型ページで2位と3位がリスト型ページだったので、ちょうど順番が入れ替わった形です。
ここまでの結果をまとめてみましょう。
漠然としたニーズ
「寺社 巡り」
- 1位 記事型ページ
- 2位 リスト型ページ
- 3位 リスト型ページ
「日本の名所 巡り」
- 1位 リスト型ページ
- 2位 リスト型ページ
- 3位 記事型ページ
ハッキリとしたニーズ
「奈良 観光」
- 1位 記事型ページ
- 2位 キュレーション型ページ
- 3位 キュレーション型ページ
「奈良 旅行」
- 1位 リスト型ページ
- 2位 記事型ページ
- 3位 リスト型ページ
「金沢 観光」
- 1位 記事型ページ
- 2位 記事型ページ
- 3位 記事型ページ
並べてみると、漠然としたニーズにはリスト型ページ、ハッキリとしたニーズには記事型ページ、あるいは人の手や考え方が入ったキュレーション型ページが上位表示されている印象です。
検証3:不動産
マンションはこれまでの事例よりも、出てくるページが予測しやすいのではないでしょうか。
場所がハッキリしたマンション購入のニーズ:豊洲 マンション購入
漠然としたマンション購入のニーズ:タワーマンション 購入
「豊洲 マンション購入」では、1位から3位までがすべてリスト型ページでした。もう少し対象を広げて5位まで見てもリスト型ページでした。
「タワーマンション 購入」では1位と2位がリスト型ページ、3位にキュレーション型ページが入りました。
つまり不動産の検索では、記事型ページが見当たりません。
賃貸マンションについても見ていきましょう。間取りやよくある条件だとリスト型ページの絞り込みが出てくる可能性が大です。少しだけワードをよくある言葉から外してみましょう。
賃貸マンション セキュリティ
外すといっても現実に検索しないようなワードを入れても、仕方がありません。間取りや設備などに比べたら少ないだろうと考え、「賃貸マンション セキュリティ」で検索してみました。
1位は明確な区別がつきにくいインデックスページですが、強いていえばキュレーション型ページに近いといえます。2位はリスト型ページ、3位は記事型ページになりました。
なお「賃貸マンション ペット」などで検索するとリスト型ページのみです。「賃貸マンション 角部屋」で検索すると1位は記事型ページになりました。不動産はリスト型ページがほとんどの検索結果になるイメージですが、キーワードによっては違う場合もあるようです。
まとめ
この記事の目的は「漠然としたニーズとハッキリとしたニーズで、検索結果の上位に出るコンテンツ形式に違いがあるのではないか」「記事型ページとリスト型ページが出るキーワードの傾向は、どんなものか」を探るというものでした。
結果としては食事ではニーズが明確な場合はリスト型ページ、漠然としている場合は記事型ページが優位でした。旅行、観光では逆で、漠然としたニーズでリスト型ページが、ハッキリとしたニーズでは記事型ページという感じでした。
不動産はリスト型ページが優位なものの、ワードによっては記事型ページが上位に出るというまではわかりましたが、全体的にどういう傾向があるのかはつかめませんでした。
このように明確な傾向はつかめませんでしたが、その業種や業界、そして検索ワードにより、好まれるWebページには何らかの傾向はあるみたいです。
コンテンツマーケティングではキーワードの選定のあと、どういったコンテンツがヒットしやすいかも探って行くことが重要です。記事型ページで狙うか、リスト型ページで狙うかです。リスト型ページを作らないオウンドメディアも多いでしょうから、その場合は記事型ページで上位が狙いやすいワードを採用するようにします。
このように検索結果の傾向に合わせたコンテンツの作り方、出し方、あるいはキーワード選定をおこなって行くことが重要です。
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