最近のデジタル広告の話題は、「リスティング広告のCPCが高騰している」「cookieの規制強化などにより、ターゲティングが効きにくくなっている」といったものです。これにより、従来とは異なる広告を探している方も多くいらっしゃるでしょう。
この記事では定番といえるGoogle、Yahoo!のリスティング以外の広告について紹介していきます。
オーディオアド(音声広告)
音声広告とは、文字通り音声メディアでの広告を指します。オーディオアドも同様の意味ですが、デジタルにおける音声広告を特にそう呼ぶ傾向があるようです。ここではデジタルにおける音声広告(オーディオアド)について取り上げていきます。
オーディオアドには、次のような特徴があります。
- 主に音楽配信サービスや、ポッドキャストを通じて提供される。
- 具体的にはSpotify、radikoなど。ニッポン放送のポッドキャストなどでも配信がおこなわれている。
- ターゲティング、パーソナライズなどが可能。
- 一般的には、聴いたユーザー数により費用が発生する。
- スキップされない(できない)仕様。
- 主にブランディング、認知の向上に効果を発揮するとされる。具体的な成果への誘導も可能。
ラジオなど昔からの音声メディアが、単純にデジタルのプラットフォームに移ったというわけではありません。ターゲティングやパーソナライズといった、デジタル広告ならではの強みも持つのが大きな特長といえるでしょう。さらにABテストの実施も可能です。
こうした仕組みに関するメリット以外にも、「ブランド想起において高い効果が出る」「あまり不快に感じない」などが、各種調査から明らかになっています。アメリカをはじめとする海外では毎年高い伸びを見せていますが、まだ日本ではそれほどのシェアではありません。しかし予測によると、2022年から急激な広がりを見せるとされます。押さえておきたい広告といえるでしょう。
ライブ配信による広告
動画広告は、デジタル広告においてトップクラスに注目されるものです。ですからYouTubeというプラットフォーム内への出稿、あるいは広告フォーマットが動画などさまざまなバリエーションがありますが、「ライブ配信による広告」の注目もあがってきています。
ライブコマースが、この代表的なものです。主にECサイトでもちいられる手法で、ライブ配信で商品の紹介をおこなっていきます。ですから広告というよりも、テレビショッピングに近いイメージです。
動画で豊富な情報やメッセージを伝えていけるのがメリットですが、ユーザーと対話をおこなっていくなど、双方向性の機能も持ちます。地デジ化以降はテレビショッピングも双方向といった機能は持ちますが、以前からのテレビへのイメージもあり、広く活用されているとは言い難いでしょう。逆にインターネットではこうした双方向性はあたり前のことなので、スムーズに受け入れられています。
またライブ配信(ライブコマース)と密接なかかわりを持つのが、インフルエンサーです。ライブ配信にインフルエンサーみずからが登場するわけですが、インフルエンサー目当てで閲覧するユーザーと広告主である企業との、新たな接点づくりになります。広告の出演者が新規ユーザーを連れてくるという、新しい展開です。逆にライブ配信をきっかけに、そこに出演している個人に対してファンがつくこともあり得るでしょう。
ライブ配信はアパレル、コスメといった親和性が高いジャンルにおいて強みをみせています。今後は他のジャンルにも広がっていくことが期待されます。グローバルでは中国でライブコマースが大きく広がり、定着しています。日本でもアパレルやコスメ分野で取り組みが盛んですが、まだ普及しているとは言い難い状況です。ただしプラットフォームの多様化や、さまざまなライブ配信が日々おこなわれていることを考えると、大きな可能性を秘めているといえるでしょう。
Google ファインド広告
デジタル広告の定番にも、次々と新しい広告メニューが登場しています。その中のひとつが「Google ファインド広告」です。発表から2年以上が経っていますので新しいサービスとはいえませんが、Googleが提供していることとメニューとして定着してきていますので、必ず押さえておくようにしましょう。
Google ファインド広告はそのサービス、ブランドに高い関心を持つユーザーに広告を表示します。配信面は、次の通りです。
- Discover
- YouTube
- Gmail
ファインド広告は、一般的にフィードに表示される広告です。フィードとは(時系列に)さまざまなデータが流れてくる画面で、ユーザーの興味や関心に沿った情報がカスタマイズされて出てきます。そのため、ユーザーの興味や関心に沿った広告が出てきやすい広告メニューです。
配信面のYouTubeとGmailは、ほとんどの人がご存知でしょう。Discoverは、GoogleアプリまたはGoogle検索(Web)の画面に表示されます。すべてのコンテンツを対象に、アクセスしたユーザーの興味や関心に合う情報が表示されます。表示のロジックはGoogleらしく、時間やタイミングなども含めた、複雑な条件により導かれたものです。ユーザーが検索という行動をせずに、知りたい情報にアクセスできるというメリットがあります。なおDiscoverは広告だけでなく、SEOにも大きな関連があります。具体的にはDiscoverに情報を表示させることができれば、大きな集客が見込めます。基本は質の高いコンテンツなので、ここを目指すことによりSEOと併せた相乗効果も期待できます。
ファインド広告はGDN(Googleディスプレイ広告)に似ていて、機械学習などの仕組みにより表示が決定します。しかし「配信面はGoogleのサービス内」「カルーセルでの広告掲載も可能」など、さまざまな広告仕様の違いがあります。ターゲティングも人に対するものです。GDNと比べて、できることとできないこととの見極めをして、必要に応じて取り入れていきましょう。
記事広告
メディアサイトの記事に、「広告」「PR」といったクレジットが入ったものを見たことがある人は多いでしょう。これらは、「記事広告」と呼ばれるものです。
記事広告のメリットのひとつが、「広告らしくない」ということです。キャプチャは、Yahoo!JAPANのトップページのフィード内に掲載された記事広告ですが、他の記事と同じフォーマットで自然な形で掲載されています。このためネイティブアド(ネイティブ広告)とも呼ばれます。
ただし記事と誤認して読んでもらう、というのは本筋ではないため、この例のように<広告>といった表記が入っています。記事広告が台頭し始めたのは、コンテンツマーケティングが盛り上がってきた時期でした。記事広告もコンテンツマーケティングと同じく、専門家のインタビューなど中身(コンテンツ)が充実したものがユーザーに好まれます。単なる宣伝ではなくユーザーの新しい発見になる内容にする、そのうえで自社の商品やサービスへの関心を高めてもらうなど、目的を持った取り組みをするのがベストです。
Pinterest広告
この記事を執筆している時点ではまだ本格的なリリースはしていませんが、注目度の高いSNSが広告サービスを開始すると発表しています。Pinterest(ピンタレスト)です。
Pinterestは下記の記事でも紹介しているように、日本での利用が急速に高まっています。
デジタルマーケティングの中心的な存在、SNSの2022年
https://www.leadplus.co.jp/inbound/blog/2022-of-sns-center-of-digital-marketing.hml
実際のPinterestはSNSではなく、「検索サービス」と定義されています。キーワードで検索をするといった行動が多く、Instagramとはユーザーの関わり方が違っています。また機械学習の強みを生かし、写真から類似した商品を探すといったことも可能です。マーケティング視点で利用ユーザーを見ると、検討の初期段階で使っているというデータが出ていることから、購入に結びつきやすい広告となりそうです。Pinterestは日本でのシェアを広げ、次の段階としてテレビCMでさらに認知や利用者を伸ばしたうえで、広告サービスの本格参入を決めました。こうした周到な計画からも、2022年からのデジタル広告の注目株なのは間違いなさそうです。
BtoB向け
BtoBにおいては、BtoCと同じ広告展開をしても同等の成果を出すのが難しい場合があります。BtoB向けの広告、と銘打ったものを選ぶのも有効です。
ディスプレイネットワーク(DSP)を使ったディスプレイ広告の出稿は定番ですが、企業情報に強いものを選ぶといったことも必要です。
株式会社マイクロアドが提供するシラレルは、企業情報と名刺情報データベースをもとにしているため、企業やビジネスパーソンへ向けたターゲティングに優れています。配信先にビジネス系のメディアが多くある(専門メディア含む)のもメリットです。海外ではLinkedIn広告という大きな選択肢がありますが、日本では利用者がそれほど増えていないことを考えると、こうした専門性の高いDSPを考えるのもいいでしょう。またビジネスパーソンに向けたツールとして、名刺管理アプリの「Eight」があります。ここでもターゲティングを軸にしたEight Marketing Solutions、Eight広告が提供されています。
デジタルサイネージ
スマホやパソコンといったデバイス以外でも、デジタル広告の技術は大きく進化しています。デジタルサイネージはそれを代表するものです。
いわゆる屋外掲示板ですが、固定した内容を映すのではなく、柔軟に内容を変えることができるようになっています。また屋外広告は効果測定に難があるとされてきましたが、これも解消、それどころかどう見られていたかを目の動きなどから解析するという、レベルアップした分析も可能なツールとなってきています。
デジタルサイネージでよく見られるのがタクシーの座席に設置されたタブレット端末ですが、これは乗客に応じて内容を出し分けるといった機能も有しています。
BtoBのある業界では、ある企業がこのタクシー広告で認知度を大きくあげたことから、「さらにシェアを拡大するなら、タクシー広告へ出稿を」というモデルも生まれているほどです。あらゆる場所にデジタルサイネージの設置が増えていますので、これを有効に活用して新たな成功モデルをつくれるようにしたいものです。
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