マーケティング

どんなとき利用する?マーケティングオートメーションの活用事例

新規顧客開拓のために企業が行っているマーケティング活動を自動化するためのツールが「マーケティングオートメーション」です。「MA」という略称でも知られています。確実かつ効率的にマーケティング活動を展開するため、その重要性は年々高まってきました。この記事では、有名企業での活用事例をあげながら、具体的な内容を解説していきます。

マーケティングオートメーションの手法は様々

一言でマーケティングオートメーションといっても、様々な手法があります。なぜなら、業種や経営体制によって、求められる機能がまったく異なるからです。導入に際しては、自社の業務に合ったツールを選ぶことが大切です。

【動画】マーケティング担当者必見!スタートアップCEOと考えるCXの未来

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本動画は、過去 SAP.iO のプログラムに参加し、当領域の最前線で活躍されているスタートアップ各社の CEO をお招きし、日本企業が目指すべき将来の CX のあり方などについてディスカッションした内容を収録しています。

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マーケティングオートメーションの事例紹介

以下、マーケティングオートメーションの事例を紹介していきます。ここで注目したいのは、どのようなシーンでどのようなツールが使われているかの組み合わせです。ビジネスでは取引のあり方を「BtoB(企業間のビジネス)」「BtoC(企業と消費者のビジネス)」といった概念で表します。

自社のターゲットを踏まえたうえで、様々な取引形態に応用できるマーケティングオートメーションを導入しましょう。

アンリツ株式会社

マーケティング担当者と営業職のすれ違いは、多くの企業で課題となっています。電子計測器で知られるアンリツ株式会社も、それぞれの部門が保持しているターゲットリストを統合しきれず、メールマガジンの配信が非効率的になっていました。

例えば、営業部門の所持しているお客様情報とWeb経由で獲得したお客様情報が別々になっていたため、コンタクトできる顧客の数が限られてしまっているという状況があったのです。そこで、2015年にマーケティングオートメーションを導入し、部門ごとに管理されていた見込み客リストの同期化を実現させます。

以後、連絡が取れる見込み客が増え、さらに顧客分析をして数値を出すことで、潜在顧客とのコンタクト状況も見えるようになりました。MAを導入することで、さらなる宣伝力・営業力の強化に成功した事例です。

キリン株式会社

営業力の強さで有名なキリン株式会社も、かつては顧客へのメール配信に手を焼かされていました。競争が激しい業界だけに、次から次へと見込み客にメールを送ることが習慣化し、じっくり顧客管理を行うだけの時間が確保できなかったのです。
しかし、マーケティングオートメーション導入後は顧客管理を一元化し、「誰に」「いつ」「どんな」メールを送ったのか、または送るべきかが明確になり、即効性のある営業が行えるようになりました。

株式会社ドクターシーラボ

こまやかなニーズに応える必要のある業種では、マーケティングオートメーションが大活躍します。化粧品販売を行っている株式会社ドクターシーラボは、顧客の種別によって宣伝展開を工夫していました。
しかし、従来のやり方ではメールマガジンを配信する度に複雑なリスト抽出作業が発生し、Web部門の負担があまりに大きくなってしまったため、マーケティングオートメーションを取り入れました。

以降、リストの抽出作業は画面上の選択肢からシンプルに行えるようになり、専門知識がなくても作成できるので負担が大きく減りました。また、同一画面上でメールの配信設定や配信後の反応なども管理できるようになりました。
さらにサイトへのアクセス情報からネットユーザーの嗜好を自動的に分析できるようになり、速やかな営業へとつながっています。例えば、サイトに複数回アクセスしているユーザーや特定のページを閲覧したユーザーに対してメールマガジンを配信するリストを作成することができるようになりました。また現在では、顧客へのメール配信後、どのような反応があってどれだけ売上につながったのかも解析可能です。

株式会社ベネッセコーポレーション

複数の事業を同時展開している企業は、Webサイトの数も自然と増えていきます。その結果、アクセス人口の把握など、Web担当者に課せられる役割は複雑になり、データを解析するだけでも莫大な労力がかかってしまいます。
株式会社ベネッセコーポレーションもまた、教育や介護など幅広く事業を拡大させていたため、同様の課題を抱えていました。そこで、マーケティングオートメーションを使って異なるWeb間の顧客管理を統合させました。これによって膨大なデータの一元管理が可能となり、分析とレポートにかかっていた労力とコストを大幅に削減することができました。

株式会社パソナ

人材紹介サービス業としてトップクラスの株式会社パソナも、マーケティングオートメーションを導入しています。パソナでは既存の登録者へのリテンションを重要視しており、個人の要望、問題に合わせた長期的な関係構築が急務になっていました。
しかし、そうなると担当者と登録者との連絡業務が必然的に多くなり、担当者の負担が増えてしまっていました。そこでパソナはMAを導入し、メールの自動送信を可能にして負担を軽減しました。また、登録者の返信や行動の変化にいち早く対応し、こまやかなフォローができるようにもなりました。始まりは2名での導入でしたが、部署全体を巻き込むことで少人数・短期間で実現ができたことも特徴的です。

freee株式会社

サービス事業を中心に、大量のプロジェクトを同時進行で企画しているfreee株式会社は、早い段階でマーケティングオートメーションを活用していました。しかし、単に導入するだけでは従業員の理解度にバラつきが生まれ、業務も混乱してしまいます。

そこで、freeeではツールの使用を希望する者に対して社内教育を徹底して、基礎的な知識を育んでから新規アカウントを作るようにしました。また、オペレーション専任チームも立ち上げ、従業員からの疑問に迅速に答えることで施策の停滞や失速を防いでいます。
マーケティングオートメーションの実践においては、想定されるトラブルを臨機応変に乗り越えることで社内全体でMAを活用し、効果をあげることが可能になるのです。

株式会社マネーフォワード

株式会社マネーフォワードは、BtoB型の資産管理サービスで注目を集めている企業です。しかし、事業が大きくなるにつれエンジニアやマーケターの数が不足し、自社サービスを顧客に理解してもらうための活動が十分にできない事態になっていました。
そこで、マーケティングオートメーションの導入により、顧客リストを共有して個人の負荷を減らす試みが施されたのです。また、マネーフォワードは導入の初期段階で、少人数の社員を優先的に教育しツールの機能を修得させました。彼らが十分な知識を得てからは、的確な指導によって社内全体にツールの理解が広がっています。

導入後は積極的なアクションで情報配信ができるようになり、顧客の理解を深めることに成功しました。その結果、さらなる利便性を求めて無料会員から有料会員へと転向する顧客が2割も増え、さらに転向への期間も半分に短縮されることとなりました。

シンコム・システムズ

海外でもマーケティングオートメーションは積極的に利用されています。グローバル企業として成長を遂げてきたシンコム・システムズは、顧客リストの分析に悩んでいました。

同社はリストから見込み客を選定して営業活動を続けていたものの、「見込み」の中にもグレードがあります。グレードの低い見込み客に、高い見込み客と同じだけの営業をかけていたため、時間と費用が非効率的になっていました。
そこで、マーケティングオートメーションにより、見込み客のグレードを可視化し、可能性のある顧客への営業を優先的に行うことができるようになりました。また、顧客の嗜好や性格を踏まえて商材を提案できるため、製品に対する関心を呼び起こしセールスリードにつなげることができました。

ランスタッド

オランダのランスタッド社は人材サービスで利益をあげてきた企業です。かつて、同社は積極的な営業活動を行い、結果を残してきました。しかし、時代はアウトバウンドだけでなくインバウンドも重視する流れに変わっていき、スタイルの転換を強いられます。Web宣伝に弱みがあると自己分析した同社は、マーケティングオートメーションの導入を決意しました。
MAの導入でネットユーザーの動向を把握することが可能になり、顧客が必要と思うコンテンツを一番いいタイミングで配信できるようになりました。ユーザーの需要を先回りできるようになったことで、同社の見込み客は増え、顧客からのアクションも上昇しています。

マテル

アメリカの大手玩具メーカーであったマテル社は、ライバル企業との競争で後れをとるようになっていました。幼いターゲット向けの商品は好調ながら、成長したターゲットが他社に奪われる傾向が顕著だったのです。

自社ブランド間の情報共有が上手くいっていないと気づいたマテルは、マーケティングオートメーションを取り入れました。そして、1つのブランドが蓄積してきた顧客データを、別のブランドへとスムーズに引き継げるような環境を整えました。
その結果、ターゲットの成長に合わせて次々と魅力的な商品を提案できるようになりました。さらに同社では、親子で遊べるゲームアプリに誘導するために、マーケティングオートメーションでレシートにURLを掲載しています。

まとめ

バラバラに機能していた部門の情報を統合するために、マーケティングオートメーションは重要な役割を果たします。また、見込み顧客の情報を掘り下げることによって、業務のさらなる効率化と業績の向上も可能です。グローバル化が進み、顧客のニーズが多様になった時代では従来の顧客管理だけだと取り残されがちです。成功事例を参考にして、マーケティングオートメーションの導入を真剣に考えてみましょう。

参照URL
https://jp.marketo.com/customers/anritsu.html
https://ec-orange.jp/ec-media/?p=13232
https://driver-times.com/driver_work/driver_biz/1055294#num_4707398

キリンの営業力
https://diamond.jp/articles/-/91148

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