マーケティング

インバウンドマーケティングでリスティング広告を上手に活用する方法

広告が嫌われる時代。数年前からそう言われ、人々のためになる愛されるマーケティングをしようという機運と共にインバウンドマーケティングやコンテンツマーケティングが広がっています。

インバウンドマーケティングを実践していくと、その費用対効果からか、インバウンドマーケティング信者だからなのか、広告が悪のような感じで捉えられがちです。

このブログの読者はインバウンドマーケッターが多く「インバウンドマーケティングでどうして広告??」と、そんな疑問が起こったかもしれません。

この記事ではインバウンドマーケティングにどうして広告が必要か。また実際にどう取り入れていけば良いかについて解説していきます。

広告について

まずは前提となる知識として、広告について解説していきます。

現状

「広告は嫌われている」

それは確かかもしれません。しかし、これは、最近になって急に始まったり、インターネットだからそうなったというわけではありません。

以前からの例を少し見ていきましょう。

テレビCM

テレビ番組にCMは欠かせないものです。民放はCMの広告料で成り立っている、そんな当たり前の現実を知らない子ども時代には、どうしてこんなに番組の合間合間にコマーシャルが入るのだろう?と不思議に思ったり怒ったりしたものです。

しかし大人になってもその心理は変わりません。やはりCMは邪魔なものと多くの人が感じています。

今は当たり前の機能になっていますが、DVDレコーダーにCMカット機能を付けるという話が出た時には、電機メーカーとテレビ局で喧々諤々の論争があったものです。

「メーカー側のCMも飛ばされるんですよ」

というのは、もっともで摩訶不思議な反論でした・・・。

こうした機能がなくても、もともとCMが始まると「トイレタイム」と称してテレビの前を中座するのは当たり前の光景でした。皆、CMにそれだけ関心が無かったのです。

新聞

新聞には紙面上の広告、それと折込チラシという大きく二つの広告があります。

紙面の中の広告は捨てられませんが、折込チラシはまとめてゴミ箱行き、という光景も昔からよく見られたものです。

時おり「折込チラシを見るのが楽しい」という人に出会うと、かえって新鮮で印象に残ったものです。

新聞への出稿、折込チラシが近年大きくその数を減らしたのは、費用対効果が良くなかったためです。以前の職場で新聞15段の広告を毎週出していた時には気持ちの良いものでしたが、その効果はと言われると困ったものです。

インターネット時代の前から、広告は好まれる存在ではなかったのかもしれません。

加えて、インターネット初期の定番だったバナー広告の効果が目に見えて減ってきているのも、広告への風当たりを強めています。

インターネットだと効果測定が明確化され、可視化されて現実が明確になったというだけです。

ここまでが、一般的な認識です。

それでも広告は必要か?

しかしながら広告が不要かと言えば、そうではありません。

広告を掲載したり出稿する立場ではなく、生活者目線で見ても広告はまだまだ必要です。

実際の話をしましょう。

広告の効果が落ちてきているというのは事実ですが、それでも広告経由の売上や申込み、問合せは今でも多くあります。

最近主流になってきているネイティブ広告だけでなく、バナー広告(ディスプレイ広告)も、多くの成果を生んでいます。

生活者は押し付けられる広告ではなく、自分たちで得た情報をもとに行動したいと考えています。

しかし、そうした情報だけで人が行動を起こすのは、なかなか難しいものがあります。

広告は「気づきを与えてくれる」良いキッカケになります。

広告で知った情報を口コミ、SNS、あるいはリアルな場での雑談などから確認し、手に入れるべきものかどうかを生活者は考えていくのです。

また、アドテクノロジーの進化もプラス要因です。

性別や年代といった基本的なデモグラ情報だけでなく、生活者の行動履歴により興味、関心が高い広告が配信されるようになってきています。

広告が嫌われていた理由の一つが「自分の興味のない広告が一方的に出てくる」、故に「邪魔」と感じられていたのです。

ところが現在はインターネット上では自分が興味、関心を持つ広告が高い精度で出てきますので自然とクリックしてしまうのです。

実際に私たちも企業のオウンドメディアを運営している関係で広告をトラッキングする機会が多数あります。CPAという観点では500円で獲得できていたものが700円になっているなど、費用対効果は落ちていますが、今も多くのコンバージョンを生んでいるのも事実です。

活用方法をより工夫していくのは必須ですが、広告は依然として欠かせない存在と言えます。

【動画】マーケティング担当者必見!スタートアップCEOと考えるCXの未来

【動画】マーケティング担当者必見!スタートアップCEOと考えるCXの未来

デジタル技術の進化と共に購買プロセスが大きく変化し、B2B・B2C に関わらず、購買者はあらゆるタッチポイントで一貫したサービスを求めるようになりました。この変化の激しい時代において求められる顧客体験とはどのようなものか?

本動画は、過去 SAP.iO のプログラムに参加し、当領域の最前線で活躍されているスタートアップ各社の CEO をお招きし、日本企業が目指すべき将来の CX のあり方などについてディスカッションした内容を収録しています。

動画視聴はこちら

リスティング広告(検索連動型広告)の活用

実際にインバウンドマーケティングやコンテンツマーケティングと広告をどう組合わせていくかを解説していきましょう。

まずはリスティング広告(検索連動型広告)です。

GoogleやYahoo!で検索した時にキーワードに応じて表示される、テキスト広告です。

リスティング広告

リスティング広告の良いところは、中小企業を含めて手軽に出稿できるという点です。

このメリットをまとめてみましょう。

リスティング広告のメリット

  • 運用型広告なので、予算や広告内容、各種設定が随時変更できる
  • 上限金額をはじめ、予算コントロールがしやすい
  • 検索からクリックするユーザーなので、ニーズが顕在化している

運用型広告、予算コントロールがしやすいというのはよく聞かれるメリットです。

ニーズの顕在化という意味では、たとえば「顧客管理」「顧客管理 システム」といったワードで検索するということは、多くの場合で具体的にそういったソリューションを欲し始めていると考えられます。

検索連動型広告がコンバージョンに結びつきやすいというのは、こうした理由からです。

検索結果上位の前にリスティング広告で補う

インバウンドマーケティング、コンテンツマーケティングに欠かせないSEO視点でのメリットについても考えてみましょう。

以前のSEOは「内部施策+外部施策」でした。つまりWebページをきちんと作り、良いリンクを集められていたら検索上位になる可能性が高くなっていました。

しかし近年は、これにWebページ上でのユーザー行動やコンテンツの質が加わっています。

コンテンツについて「滞在時間が長い方がSEO上も良いのではないか」といった意見が多く聞かれ始めているのは、その表れの一つです。

ただし、こうしたユーザー行動を見るためには一定量のトラフィック(アクセス数)が必要になります。

立ち上げたばかりのオウンドメディアや新しいテーマで追加し始めたばかりのコンテンツが自然検索だけでいきなり十分な集客をするのは厳しいものもあります。

そこでスタート時に、リスティング広告を組み合わせる方法をオススメします。

もちろんずっと広告に頼っていたら過去からのやり方と何も変わりませんから、状態を見ながら予算を20%、40%、50%・・・と削減していくのです。

KPIの一つとして、リスティング広告の予算を段階的にカットしていくというのも盛り込んでおくと良いでしょう。

トラフィックが少なすぎる問題

また閲覧者だけでなく、内部でコンテンツに関わる人達にとっても、トラフィックが少なすぎると問題が発生してきます。

経営層はそれほど気長に成果が出るのを待ってくれません。実際の成果が取れるのがベストですがそう簡単にはいきませんので、その間を訪問数やPVといった分かりやすいデータで補っていきます。

インバウンドマーケティングにおいてPVなどはあまり意味がないかもしれません。しかし、広告経由であっても一定量の訪問数、PVを確保できていたら、それを基に説明していけば良いのです。経営陣による早急な判断で急遽クローズ、といった憂き目に合わなくても済むはずです。

またコンテンツに関わるライター、編集、企画などのスタッフも、自分たちが作っているコンテンツがあまり見られていないと落ち込んでいきます。

内部でのモチベーション低下を生まないためにも、スタート時点からある程度のトラフィックを稼ぐためのリスティング広告は用意しておきたいものです。

ディスプレイ広告の活用

多くのWebページに掲載されるバナー、ディスプレイ広告は検索連動型広告とセットで実施されることが多くなっています。メリットを見ていきましょう。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告のメリット

  • 運用型広告
  • 予算コントロールがしやすい。かつ検索連動型広告よりCPCが低め
  • ユーザーの興味、関心に合わせたターゲティング精度が高い

運用型広告であることや、予算コントロールがしやすいのは検索連動型広告と同じです。

以前のディスプレイ広告は潜在層向けと言われましたが、最近はターゲティング技術の進歩で顕在層への訴求力も高まっています。

インバウンドマーケティング、コンテンツマーケティングの組合せではこれを利用します。

サイトやWebページへ訪問履歴があるユーザーに対して、継続した接点を持つことに主眼を置くのです。

検索連動型広告はスタート時の施策としましたが、ディスプレイ広告は継続してそのコンテンツに来てもらうための施策に使っても良いでしょう。

リスティング広告のCPCは高騰していますが、幸いなことにディスプレイ広告の方はまだ低めです。

広告ですからやはり広告予算を順次カットしていく計画にはすべきですが、ユーザーとの接点を保つという意味で取り入れて良い広告手法でしょう。

まとめ

書籍やインターネット上の記事では、「広告不要のマーケティング手法」と大々的に紹介されるインバウンドマーケティングやコンテンツマーケティングですが、実際にはここで紹介したような広告が、特にスタート時には必要とされます。

書籍やインターネットの記事は関心を持ってもらうために理想が書かれていますが、ほとんどの場合で広告と組合わせて始める事が必要です。

インバウンドマーケティング、コンテンツマーケティングを始める際には計画を立てると思いますが、くれぐれも予算計画で広告費を0円にするという事がないようにしておきましょう。

優れたCX を実現する「顧客データ」活用のあり方を探る
  • fb-button
  • line-button
  • linkedin-button
TOP