マーケティング

PDCAサイクルの具体例:Webマーケティングへの活用

ここでは、複数のWebマーケティングをモデルにPDCAサイクルの具体例を紹介し、皆さんにPDCAサイクルを回すためのヒントを見出して頂きたいと思います。

PDCAサイクルについて簡単におさらいしましょう

Plan:計画

計画の基本概念である「5W2H(※1)」をもとに、計画を組んでいきます。また、計画の目標を定めKPI(重要評価指標)を設定しましょう。

Do:実行

計画を実行するフェーズであり、重要なのは次の「Check」でしっかりと評価できる仕組みを作ることです。数値で表し結果を視覚化できるようにすることも大切。

Check:評価

数値化した結果から「目標を達成できているかいないか」を評価します。主観的な意見はできるだけ排除するのがポイントです。

Act:改善

評価をもとに達成率を割り出し、改善案を打ち出していきます。改善案は次の「Plan」に繋げていけるよう考慮するのがポイントです。

それでは実際に具体例を見ていきましょう。

※1:5W2Hとは、「誰が:Who」「いつ:When」「どこで:Where」「何を:What」「なぜ:Why」「どうやって:How」「いくらで:How much」をもとに計画を組んでいくこと。

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WebサイトのPDCAサイクル具体例

Plan:計画

運営の目的にもよりますが、Webサイトでは主に“訪問者数の増加”と”リード獲得数の増加”がメインのPlanになります。そのためにはまず「どんなコンテンツがユーザーに求められているか?」を考えることから始めましょう。

ここで有効的なのがペルソナです。ペルソナは自社Webサイトを使用する理想的なユーザー像で「こんな人にWebサイトを見て欲しい!」を具体化したものです。

あたかも存在するユーザーに見立て「きっとこんなコンテンツを求めているだろう」「今のシーズンならこんなコンテンツも好きそうだな」と思考を展開することで、ターゲットのニーズをしっかりと捉えたコンテンツ設計が可能となります。

ペルソナの設計は他の設計を進めるうえで重要です。ペルソナの設計に役立つテンプレートをご用意しました。ご興味があれば以下を合わせてご確認ください。

KPIとしてはPV数、UU数、サイト滞在時間、離脱率などを設定し総合的に判断しましょう。

Do:実行

コンテンツ設計が完了したら実際に作成し公開します。ここでは「Check」へ繋げるために重要なのはアクセス解析ですね。

また正確さとスピードさが重要になるので、常に効率化を心掛けることが大切です。

Check:評価

設定したKPIをもとに、公開したコンテンツのトラフィックを確認していきましょう。PV数やUU数で単純にどれくらいのユーザーに閲覧されたかを見ることで、コンテンツがニーズにマッチしていたかを知ることができます。

例えばPV数やUU数は多いにも関わらず遷移率が高ければ「コンテンツとしてのニーズはあったが満足度が低く、他のコンテンツで情報収集を試みたユーザーが多い」と判断することができます。

このように単純に「PV数が多いからコンテンツ設計が成功した!」と判断するのではなく、総合的な観点から評価するこが重要です。

Act:改善

先ほどの例を挙げるならば、コンテンツ設計を維持しつつ内容が充実して質の高いコンテンツ配信が改善点となります。この改善点をもとに再び「Plan」で計画を立てていきましょう。また、その都度適切なKPIを設定することも忘れずに。

メールマーケティングのPDCAサイクル具体例

Plan:計画

BtoBにおけるメールマーケティングでは、Webサイト同様にペルソナを作成することがとても大切です。こちらからコンテンツを配信するという点からユーザーニーズをピンポイントにつく必要があるので、しっかりとペルソナを作成しましょう。

また、全てのユーザーに対し同様のコンテンツを配信するのではなく、セグメントによって複数コンテンツを用意し“One to Oneマーケティング”を実践してください。

KPIとしては開封率、リンククリック率、メール配信経由閲覧ページなどを設定するのが一般的です。

Do:実行

計画したコンテンツを実際に配信するわけですが、ここで重要なのが開封率を測定できるようにすることです。リンククリック率はアクセス解析で簡単に計測できますが、開封率に関しては通常のテキストメールではなくHTMLメールを作成する必要があります。

ただし、ユーザーやメーラーはHTMLメールを嫌う傾向にあるので“テキストメール風のHTMLメール”が現在のトレンドです。

Check:評価

まずは開封率ですが、一般的にメール配信の開封率は10%程度と言われています。1,000人に配信して100人程度が開封していたら平均値クリアですね。

もしも開封率が10%以下なら、まず件名に問題があると考えられます。ほとんどのユーザーが件名を見てメールを開封するか否かを判断しているので、件名の最適化が最優先となります。ただし、場合によっては配信時間に問題がある可能性もあるので、注意深く評価してください。

開封率の平均値をクリアしていればリンククリック率やその他のKPIを追っていきましょう。

Act:改善

メール配信の改善では、一気にあれもこれもと改善案を取り入れないことです。例えば件名の最適化と配信時間を変更して配信した場合、もしも開封率に改善が見られてもどちらに要因があるのかが判断できません。

このため改善案は常に1つに絞り、少しずつPDCAサイクルを繰り返していくことが大切です。

ソーシャルメディアのPDCAサイクル具体例

Plan:計画

ソーシャルメディアではまず何を目的に運用しているか?を明確にしましょう。ブランドの認知拡大なのか、ロイヤリティの向上なのか、直接的なコンバージョンを狙うのか、目的によって運用方法も変わってきます。

例えばブランドの認知拡大が目的ならば、バイラル性の高いコンテンツを配信し続けるのがベターです。よくあるのがシェア率の高い猫の画像などを用いたコンテンツを配信するケースですね。

ときにはユニークなコンテンツなどを用いることで、効率的に認知拡大を繋げていくことができます。しかし注意して欲しいのは、あまりに事業とかけ離れた内容だとブランドイメージに傷が付いてしまうということです。

ですので、ブランディングを考慮しつつ運用するのが重要ですね。

ソーシャルメディアではシェア数が主なKPIとなりますが、コンテンツに対するコメントやリツイートなどにも注目していきましょう。

Do:実行

一見コンテンツ配信において特に注意点のないソーシャルメディアですが、実際は各プラットフォームにより推奨画像サイズなどが異なります。

それぞれの特徴をしっかりと捉えた上でコンテンツを最適化することが重要です。

Check:評価

シェア数が高ければ良し、低ければコンテンツに問題があります。また、いくつかコメントを確認すればどんなユーザーがコンテンツを閲覧しているのかが把握できるでしょう。

配信時間によるシェア数の違いなどにも注目していきましょう。

Act:改善

シェア数が低いと「よりバイラル性のあるコンテンツを!」と、ブランドイメージを無視した改善案に走りがちです。無差別なブランド認知拡大が目的ならともかく、ターゲットが明確に定まっているのならユーザー視点を意識した改善案を打ち出しましょう。

また、Webサイトやメール配信同様にペルソナを作成してみるといいかもしれません。

”CAPDサイクル”で実行してみる

ここまでPDCAサイクルの具体例を紹介しましたが、ここで一つ問題があります。

それは、“「Plan」から始めるとあれもこれもと計画が大きくなり、実行が難しく評価も正確にできなくなってしまうこと”です。

PDCAサイクルと言うほどなので、「Plan」から始めることが固定概念化しているのが大きな原因ですね。特にWebマーケティングでは大きな落とし穴になってしまうので注意が必要です。

そこでPDCAサイクルではなく“CAPDサイクル”を意識してみてください。

Check:評価(現状課題把握)

現行のWebマーケティングをまず評価し、課題点を洗い出します。

Act:改善

課題点をもとに改善策を考案。

Plan:計画

改善案をもとに目標や期間を定め計画。

Do:実行

計画を実行に移し、再び「Check」で評価。

このように、今やWebマーケティングではCAPDサイクルをもとに効果検証と改善を繰り返していくのが一般的です。

PDCAサイクルを適切に回せているマーケターは、実は無意識にこのCAPDサイクルを実行しています。もしも「Webマーケティングの成果がなかなか上がらない…」と悩んでいるのであれば、CAPDサイクルを意識してみてください。

まとめ

いかがでしょうか?今回はPDCAサイクル並びにCAPDサイクルの簡単な具体例を紹介しましたが、なんとなく「WebマーケティングのPDCAサイクルはこう回せばいいのか!」と感じて頂けたのではないかと思います。

PDCAサイクルは全てのビジネス(あるいは私生活)において継続的な改善を実現するための基本であり、この考えはPDCAサイクルの概念が生まれた1950年代から今まで変わっていません。冒頭のリンク先で解説していますが、戦後日本企業が驚異的な速度で成長した陰にはPDCAサイクルの徹底があったのです。

おそらく100年後もPDCAサイクルの重要性は変わらないでしょう。

また、PDCAサイクルを適切に回せればどの業界業種でも評価される人材となるので、是非今以上にPDCAサイクルに対する理解を深めて頂ければと思います。

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