OMOがオンラインと実店舗を結ぶ?顧客満足度を高める施策と事例を解説

 2021.10.28  顧客体験(CX)活用ポータル編集部

OMOは従来区分されていた「オフライン」と「オンライン」の境界をなくし、顧客体験の向上を目指す考え方です。「店頭だけ」「ECショップだけ」と区分されがちですが、これらの垣根を超えることで新たな体験が期待できます。今回は、重要なマーケティング手法であるOMOの概要やメリット、実際に取り組む事例についてご説明します。

OMOの概要と注目される背景

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この章では、「OMO」の意味と、なぜOMOが注目されているのか、その背景についてご説明します。

OMOとは

「OMO」とは「Online Merges with Offline」の頭文字を取ったもので、日本語では「オンラインとオフラインの融合」を意味するマーケティング手法です。

具体的な手法として、OMOでは「インターネットと実店舗の境界をなくし顧客体験を高める」というものがあります。境界をなくしチャネルを超えたアピールをすることで、消費者の購買意欲が高まるとの考え方です。企業としては今までにない「顧客体験」をしてもらうことに力を入れるべき時代といえるでしょう。

OMOが注目される背景

類似商品が大量にあふれる現在、競合他社との差別化を図りつつ顧客を惹きつけるためには、商品そのものに加え、どのような場所・状況・方法で商品を入手したかという一連の「購買体験(UX)」も重視すべきだと考えられます。これを実現するための手段として、OMOの考え方が広く取り入れられるようになりました。

実際、ライフネット生命が 2020年10月28日~11月5日に行った「オンライン接客に関する調査」によると、「便利だから」との理由でオンライン接客を受ける人が4割以上もいます。今の時代、オンラインで情報を収集し商品の購入まで完了できますが、あえてオンライン接客を求める人がいるのです。世の中の変化に伴い、このような顧客に応えるべく、OMOの考え方は急速に求められています。

 

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OMOとオムニチャネルやO2Oの違い

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OMOと類似する考え方には、「オムニチャネル」や「O2O」があります。OMOをより正確に理解するために、これらの概念との違いについても理解しておきましょう。

オムニチャネル

オムニチャネルとは、Webサイト・コールセンター・SNS・ECサイト・実店舗など、あらゆる販売経路(チャネル)で顧客との接点を持ち、顧客の購買活動を促そうとする考え方を指します。

オムニチャネルとOMOの大きな違いは「顧客の購買活動を重視する」か「購買を含めた顧客のあらゆる体験を重視する」かです。OMOはオムニチャネルとは異なり直接的には購買活動に結びつかないことでも、顧客の利便性や体験価値が増すことであれば意義があります。

オムニチャネルについてさらに詳しく知りたい方は、「B2Cで進むオムニチャネルマーケティングとは?事例と成功のための方法を紹介」をご覧ください。

O2O

O2Oとは「Online to Offline」の略称で、オンライン(SNSやWebサイト)でのアプローチを通して、実店舗へ顧客を誘導するマーケティング施策です。主な具体例としては、ユーザーが実店舗の近くにいるときにクーポンを送信したり、店舗の地図情報をWebサイト上に表示して顧客を誘導したりするなどが挙げられます。

O2OとOMOでは主軸とする考え方が異なっています。具体的にはO2Oが「オンラインから実店舗に誘導したい」という企業利益に基づいているのに対して、OMOは「顧客目線」「顧客体験重視」のマーケティング概念です。

また、O2Oは「オンライン」と「オフライン」を架橋するための施策であるため、オンラインとオフラインは別領域であるという前提があります。OMOはスマホや電子決済などが普及した現代において、「そもそも完全なオフラインなど存在しない」「オンラインとオフラインの境界は曖昧である」という発想から出発しているため前提から異なっているのです。

OMOに必要な4つの条件

続いては、OMOに取り組むために必要な条件を解説します。OMOの概念を初めて提唱した中国の李開復(リ・カイフ)氏によれば、OMOの実現には以下の条件が必要です。

  • スマートフォンおよびモバイルネットワークの普及
  • 電子決済の浸透率の上昇
  • さまざまな種類の高品質かつ安価なセンサーの社会的普及
  • 自動化されたロボット、人工知能の普及

前述したとおり、OMOの発想の起点は「オンラインとオフラインの境界が曖昧であること」にあります。上記の条件が揃っていくとオンラインとオフラインの境界が曖昧になり、OMOが実現されていくのです。これらの条件は顧客データを企業にもたらし、企業のデータ活用を促進したり、ICTによってサービス品質を高めたりするための要素であると判断できます。

OMOが持つ3つのメリット

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OMOのメリットは3つ挙げられるため、それぞれについてご説明します。

シームレスな購買によるUXの向上

シームレスな購買が実現できるため、顧客のUXが向上します。オンラインでも実店舗でも同じような購買体験ができるため、自然と満足度が高まる仕組みです。

オンラインとオフラインの境界があると、顧客はそれを感じてしまい、購買意欲に影響する可能性があります。OMOでは境界が曖昧になるため顧客は必要以上に物事を考えず購買に集中可能です。

また、購買体験の質を高めることは他社との差別化にもつなげられます。単純に満足度を高めるだけではなく、それが続くと「他社には無い」と感じてもらえるようになるのです。

機会損失の低減

オンラインと実店舗の境界が曖昧になることで、機会損失の低減が期待できます。どちらでも同じように商品を購入できるようにすることで、顧客はその都度どちらかを選択して商品を購入するのです。

もし、オンラインと実店舗がまったくの別物として提供されていると、顧客はどちらかでしか商品を購入しなくなります。例えば店頭で受け取ったクーポンがオンラインで利用できないと、オンラインストアの利用はなくなってしまいかねません。

しかし、OMOで両方が同じように提供されていれば、利用者は状況に応じて自由な選択が可能です。結果、どちらかで商品を購入してくれる可能性は高まり、購入機会を失わなくてすみます。

LTV(Life Time Value:ライフタイムバリュー)向上

LTVは「Life Time Value」の頭文字を取ったもので「顧客生涯価値」と訳されます。一つの企業・一人の顧客が取引を開始してから終了するまでのどれだけ利益を与えてくれるのかを示した数値です。数値が高ければ高いほど会社に貢献してくれているといえます。

顧客に適切なアピールをし機会損失を防止することで、LTVの向上が期待できます。短期的な売上アップはもちろん、顧客満足度が高まり、中長期的な売上アップも期待できます。

なお、顧客満足度は1回で大きく高まるものではなく、繰り返し顧客と接することで高まる傾向にあります。そのため、中長期的な取り組みだと考えた方が良いでしょう。短期的な取り組みと組み合わせると、さらに大きな効果を発揮してくれる可能性があります。

OMOの事例

OMOは、すでに多くの企業が実際に取り組んでいます。以下では、OMOの具体的な事例をご紹介します。

株式会社ビームス(BEAMS)

大手アパレル企業のBEAMSは、ECサイトのリニューアルを契機にOMO化を進めました。同社は従来、自社のブランディング戦略をメインドメインであるコーポレートサイトを通して行っていましたが、近年ではサブドメインのECサイトのほうがより影響力を持つという逆転現象が生じていました。

そこで同社は、個別に運営され、レーベルごとに乱立していた公式サイトと自社ECサイトを統合し、情報発信の場を一元化しました。そして、これを機にリアル店舗とオンラインをつなぐオムニチャネル・OMO戦略も展開したのです。たとえば、店舗スタッフのコーディネートサンプルをコンテンツとして充実させ、オンラインでありながら顧客が実際の店舗スタッフとつながりを持ち、実店舗への来店を訴求する施策を行いました。

また、オンラインショッピングであっても顧客に「BEAMSらしい」UXを届けられるよう、梱包箱までこだわり抜いて物流の仕組みを再構築しました

Tencent社

OMOという概念の発祥地でもある中国においては、当たり前のようにOMOの取り組みがなされています。たとえばIT企業のTencentは、ある加工食品店と支払いサービス「WeChatPay」を連携させ、2回目以降の来店では顔認証だけで自動支払いができるシステムを導入しました。中国においてモバイル決済はもはや当たり前のことですが、このシステムではさらに一歩進んで、顧客はポケットからスマホを取り出す必要すらありません。

また、同社がWeChatを利用して作った別システム「小程序(シャオチェンシュ)」では、駅に設置されたQRコードをスキャンするだけで、電車の時刻表を確認できます。「スマホを取り出す」「スマホを操作する」というちょっとしたひと手間すら、ICTによって積極的に省略するこうした試みも、顧客体験の向上に寄与するものといえます。

Alibaba社

中国の代表的なIT企業であるAlibabaも、OMOに積極的に取り組んでいます。たとえば、同社が出資するスーパーマーケットでは、キャッシュレス決済やスマホアプリを使った無人レジ支払いなどを導入しています。

このアプリでは、各顧客の購入履歴に基づきおすすめ商品の情報を受けられるほか、各商品が産地から店舗に届くまでの一連の工程を確認したり、動画で料理レシピを見たりすることも可能です。つまり、スーパーのアプリに決済という実務的な機能以外の付加価値を加えることで、顧客体験の向上を図っているのです。

また、店舗から一定距離であれば、アプリで商品を注文し、30分以内に配達してもらえるサービスもあります。このサービスを使えば、店舗で気に入ったものを見つけても、両手が塞がっていて買えないということは起こりません。ユーザーは欲しい商品を見つけたら、その場でアプリを使って注文し、のちほど自宅で受け取ればよいのです。このサービスはまさに、オンラインと実店舗の境界をなくすOMOの真骨頂といえるでしょう。

OMOの事例は他にもさまざまあります。これらについて詳しく知りたい方は、「【2022年】OMO導入事例7選!メリットや3つの手法を紹介」をご覧ください。

まとめ

OMOとはオンライン・オフラインの境界を曖昧にし、それぞれを融合させることで顧客体験の向上に取り組むビジネス施策です。現在はスマートフォンが普及し、どこでもインターネット接続できるようになっているためオンラインとオフラインの境界を意識しなくて済むかどうかは顧客体験の質を大きく左右します。その点、OMOではオンラインとオフラインの境界がない状態で顧客に上質な体験価値を届けることを可能にするため、現代の顧客ニーズにマッチした施策です。

OMOをいきなり導入することが難しい場合は、まずオンラインを中心としたオムニチャネル施策から取り組むのがよいでしょう。実店舗とオンラインの情報を一元管理することで、OMOに取り組む準備を進められます。

なお、SAP社では顧客に豊かなデジタル購買体験を届けるためのeコマースソリューションを提供しています。OMOの導入にあたっては顧客情報の収集も重要となるため、ご関心のある企業様は、ぜひお問い合わせください。

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